misty

三度目の殺人のmistyのネタバレレビュー・内容・結末

三度目の殺人(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

「そして父になる」のときもそうだったんだけどまあ福山雅治観に来た程度の意識で特になにも期待はしていなかったんだけど思いの外めちゃくちゃ好みだった。しかし、司法の穴とか正義とは?という問いよりも、是枝監督が持つ「少女」のイメージをひたすら観る2時間という感じだった。

福山雅治、「そして父になる」以上にシーンに逃げ場がないというかマジ福山雅治vs役所広司のガチンコ勝負で派手なことは何も起こらないのに息を呑む。そりゃまあ役所広司がすごいのはもうしょうがない。でも福山、あの面会シーンの数々はよくやったほんま、よくぞ!という感じだった。

ただ、めちゃくちゃモヤる展開なので好き嫌いははっきり分かれそう…ジグソーパズルのピースを派手に撒き散らかされたのはいいものの特にきちんと拾い集めてもらえた感もなく、パズルを完成させないと気が済まない人には向いてない 思い返してみれば何も回収されてない、すごい

思うに、男性(と大きくまとめるのもあれだけど)の中には何か現実とはちょっと乖離した位置に、ちょっと独特で固有な「少女性」というイメージがあり、それは侵し難いものと自覚されていると同時にその「侵し難さ」の一線をどうにか踏み越えて触ってみたいという欲求が結構普遍的にあるのではと感じた。
それは「守る」という形で発露されたりするし逆に暴力の形を取ることもある。広瀬すずはそういう男性の欲求を当てられる「少女」の具現化という意味ではマジで完璧ないい仕事をしたなというか、彼女が演じたのは咲江よりもっと大きな「少女」そのものだったように感じた。神聖、ひ弱、そして残酷。

でも男性だけじゃなく、女性の方も「少女」というものについては何か特別な思いやイメージを持っていたりするんだと思うし、なんというか少女というのは実存する何かというよりは概念の一種なんだろうな。
misty

misty