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三度目の殺人のfonske0114のレビュー・感想・評価

三度目の殺人(2017年製作の映画)
3.5
是枝監督、役所広司に法廷ものと公開時に気になっているも見に行けずで、日テレ連続ドラマ「anone」主演の広瀬すず作品を見たくなっていたところでようやく鑑賞。

ある殺人事件の容疑者と事件を担当する弁護士との掛け合いを軸にした社会派作品。
以下感想ネタバレなど。










是枝監督は「海街ダイアリー」しか見ていないが、今作も人にフォーカスをあてた坦々とした作品。
見せ方がうまく、福山雅治と役所広司がガラスを隔てて対照だったり、福山雅治にガラスに反射した役所広司が重なるなど美しい場面がちらほら。広瀬すずも絵になっているところが多かった。

坦々とした物語展開で、他の作品の法廷場面では盛り上げるためのBGMがかかるようなところも音楽はなく静寂の中裁判が行われ緊張感が高まる。

真実は何か、よりも役所広司が言っていた「人を裁けるのが裁判官」「あなたは何を信じるか」というのがおそらく今作のメインテーマ。
事件前に実際に起きたことや誰がどう思っているかという心情よりも、事件後にあった(つまり映画中に映される)司法の実情や人の信条と言葉など作中で起きている現実がそのまま映画に色濃く描かれているのではないだろうか。

そのため通常の映像作品では、作品を見ている人だけが俯瞰的な視点で物事を見聞きすることができるが、今作は事件後の出来事の描写が主で視聴者のみ知っていることが少ないので福山雅治と同じような情報量しか持っていない。

なので真実もわからないまま判決が下される結末はもやもやが残る。見ている人に「あなたは判決をどう思うか?司法をどう思うか?何を信じるか?」を問いかけて終えているようである。

つかみどころのない役を演じきった役所広司は圧巻で、福山雅治の大根ぷりが余計ひどく見えた。
広瀬すずはよかったがアカデミー賞をもらうほどの演技なのかは謎だった。少なくとも同じような暗い役の「anone」の方が素晴らしい演技をしているような...

作品は変に自分の中で期待しすぎた中で、坦々としすぎたのと福山雅治のひどさの故この評価。嫌いな作品ではないのだが...
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