法廷心理サスペンスと書いてしまえばそうなのだが、この映画はそれでは指し示せない。
誰が犯人なのか、真実がどうだとか、最後までわからない。
そんなことには監督はまるで興味がないかのよう。
何が描かれているのか。
「真実」って何?
人が「信じる」って、どういうこと?
である。
アンチミステリ。
すこぶる面白かった。
ラストシーン。面会室で対峙する役所広司と福山雅治の顔が重なる。
人は自分が信じたいことを信じるのだ。
結局、裁判官、検察、弁護士の都合によって、
死刑が確定し、人一人の命が消える。
オウム関係の死刑執行の後、
この映画に遅ればせながら出会えたことは、
考えさせられた。