ISAMooN

三度目の殺人のISAMooNのレビュー・感想・評価

三度目の殺人(2017年製作の映画)
4.2
河川敷で見つかった焼死体。
逮捕された男は自白して死刑になるのか免れるのか。
弁護士とのやり取りと2転3転する供述に裁判の行方は・・・。

死刑制度の是非を問う映画と言える。
自白と冤罪、日本の司法の問題点が浮き彫りになる。
是枝裕和監督が原作・脚本・編集も兼ねた渾身の一作。

役所広司は「孤狼の血」で見せるような演技から、このような気の弱そうな男まで演技の幅が広い。
一方の福山雅治は是枝監督の肝いりなのだろうが、あの語り口と表情の変化の無さでどうしても福山雅治個人が前に出てしまう。
そういった意味では、幅の狭い役者である。
ミュージシャンのほうに重きを置いているとは思うが、私としては音楽的にもそれほど評価しない。
話がそれたが、福山雅治でなく他の適役の俳優であれば評価はもっと上がっただろう。

私自身は若い頃は被害者の事を考え死刑存置論者であったが、現在は廃止論者である。
無期刑を増やして、社会の為に刑務所の中で働いてもらうのが良いと考えている。
死が最も苦痛なのかは状況による。
冤罪と「どうなっても良い」という人の犯罪抑止になっていない点、そして公権力で人の生死をどうこうしようとする点で死刑には反対である。

しかし今の日本でここまで考える人は少なく、短絡的に応報刑論というのが大多数のコンセンサスであり、議論さえままならないのは日本の今の現状を映し出しているようで悲しいばかりである。
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