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ハリソン・フォード 逃亡者のスコットのレビュー・感想・評価

3.7
妻殺しの容疑をかけられ死刑宣告を受けたリチャード・キンブル医師は、護送中の事故により図らずも"逃亡者"の身となる。
そのリチャードが現場から脱走したことをいち早く見抜いた、サミュエル・ジェラード刑事による執拗な追跡を逃れながら、キンブル医師は真実を掴むことができるのか?
そして明らかになる、妻殺しの真相と黒幕の正体とは...。

妻が誰かに殺された。あまりのショックで警察からの高圧的な取り調べにもうまく対応できずにサンドバッグ状態の主人公。そしてあっさり死刑宣告。
この流れがホントにあっさり進んでいく上、死刑を言い渡されてからも主人公の表情に絶望感がそんな無くて、なんか軽いなぁと思って序盤を見ていたけど、その矢先に護送車が事故って脱走、加えてめちゃくちゃ敏腕の保安官トミーリー・ジョーンズが出てきてからは一気に面白くなる。

人の良さが災いして自ら何度も危機的状況に陥ってしまう心優しい医師のハリソンさんと、いちいち証拠をめざとく見つけ圧巻の推理を披露しては彼を追い詰めるトミーリーさんの対決がかなり手に汗握るもので、このタイプの映画にありがちな【警察が無能】とか【主人公が脚本の都合で無理矢理危機的状況に向かっていく】ということもなく、シリアスかつリアリティたっぷりのチェイスシーンも迫力満点だ。

残念なのは、妻を殺した黒幕の"動機"が少し複雑で突飛な印象を受けたのと、しっかり解決するとはいえ殺人の動機が動機だけにあまり見ていて気持ちの良い内容ではなかったという点。事故のようなものだったし、序盤の殺人シーンが妙にリアリティあるから余計にね。

ちなみに、この15年後くらいにアカデミー賞作品賞の『ノーカントリー』でも、なかなか姿の見えない凶悪犯を追うことになるトミーリーさん、そっちは更に胸糞で暗い内容だけど(でも名作)、もしかしたら色々パロディしてるのかもしれませんね。また見返してみよう。

※その他※
トミーリージョーンズの演技が素晴らしい。BOSSのCMのような基本無表情でいるんだけど、同じ表情のようでBOSSはどこか人間味があって、こちらは冷酷な感じで全然違う印象を受けさせる。アカデミー賞受賞も納得。

若かりし頃のジュリアン・ムーアも出てます!のちに世界三大映画祭+アカデミー賞の全てで女優賞を受賞することになる彼女も、今作ではかなりのチョイ役。どこで出るか注目してみてください!

ちなみに最近日本でもリメイクされてたけど、何もかもが劣化版でした...演出、ちゃっちいCG、トミーリーのポジションを演じた方の演技(名前は名誉の為伏せます)...。警察も総じて無能に描かれていたような気がするし、色々残念なものでした。あとモブにみんな同じ演技させるのはやめよう!不自然だから!
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