Iri17

ヒトラーに屈しなかった国王のIri17のレビュー・感想・評価

3.8
記念すべき劇場100本目は尊敬するホーコン7世の伝記映画!

ホーコン7世は僕が歴史上の人物の中でも、特に尊敬する人物の1人で、この作品ではホーコン7世の苦悩など人間的な部分がしっかりと描かれていて、個人的にかなり素晴らしかった。

勝手な想像で、ホーコン7世は最初からナチスなんかに絶対屈するもんか!って思っていたが、実際はかなり悩んでいて、彼の事が更に好きになった。

またこの作品ではドイツの外交官や息子オラフ5世、軍人や若い兵士にも焦点が当てられており、飽きずに観られるし、それぞれの思いや勇気がしっかりと描かれている部分も素晴らしかった。

ホーコン7世は結果的にナチスの台頭を招いたチェンバレンやダラディエ、対独協力を推し進めたラヴァンとは比べものにならないくらい素晴らしい人物であり、軍部の暴走を黙認した昭和天皇と違い、政治的中立性を破っても、国民国家、主権国家としての誇りを守ろうとした。ノルウェー王室が、デンマークからやって来た王族であるにも関わらず、現在でもノルウェー国民から高い支持を得ているのは彼の行為が国民に深い感動を与えている理由である。現皇太子ホーコンがジャンキーの前科持ちの父を持つ、貧困層の女性と結婚した時も、多少の反対があったものの、最終的に国民から理解し、許されたのもノルウェー王室が常に国民と共にあり、国民の代弁者である事が理由だろう。
皇室を国民から半ば隔離し、人権を侵害し、年間に難民を数人しか受け入れず、入国管理局で難民を虐待死させてる日本とは大違いである。もし、中国の皇帝の子孫が日本の皇室を継ぐと言ったらこの国が受け入れると思いますか?
もちろんデンマークもサーミ人などに対する差別は未だ続いているが、問題を数多く抱えながら自信だけは一丁前なディストピア国家日本はノルウェーやノルウェー王室から学ぶことが多いのではないだろうか。

デンマーク語で売国奴を意味する言葉になってしまったクヴィスリングは名前しか出てこなかったが、それだけ嫌われているのだろう…
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