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ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれたのdeenityのレビュー・感想・評価

3.0
実際に起こったテロ事件の被害者が両足切断という苦悩を抱えながらも成長していく。自分は内容よりもジェイクに惹かれたクチですが、見ているうちに当時のニュースのことを思い出し、記憶に埋もれていた部分と一致して内容にも惹かれていきました。

前半部分。ダメ人間だった男が両足切断するほどの被害に遭いつつも活躍する様に感心していた。そして時に彼女の前だけ見せる弱さに感情移入していた。
自分のせいで、自分をゴールで待っていてくれたせいでこんなことに。そんな取り返しのつかない後悔を優しく受けとめる優しさ。まさに「ボストンストロング」の名に相応しい男だと思った。

ただ、後半以降からはてんでダメで、その熱も冷めてしまった感がある。そりゃ被害に遭ったからかわいそうだと同情してもらって生きることの方が遥かに楽で、正直そういう自分を許せないとしても立ち向かっていく決心はつかないのもわかる。
しかし後半に至るにつれてのクズっぷりもまた腹立たしく、彼女がどういう思いでいてくれているのかを全く理解していないことに苛立った。

そもそも映画としての見せ方が彼自身の葛藤とかにあまり重きを置いていないというか、どこか軽い印象が強い。個人的にはもっと彼の心情に触れてほしくて、何ならジェイク・ギレンホールという俳優を使うならば本当に役者なのだからその辺を丁寧に見せてほしかったという思いはある。
車中で感情を露わにするシーンは見所の一つかもしれないが、そこまでの見せ方のせいでせっかくの感情移入も冷めてしまい、「いや、それお前甘えすぎだぞ」って冷静になってる自分がいた。
監督の意図かもしれないが、個人的にはもっと違うテイストで見たかった。ジェイクもそういう役でこそもっと引き立つと思うのに。実に惜しい。

しかし、ラストシーンは少し回復。事故当時のトラウマと向き合い、周りを優先するよう声をかける姿に「それこそ君の強い所じゃないか」と共感し、そして球場でのラスト。自分が知らないうちに支えていた多くの人達。
自分も支えてもらったけど、今度は本当の意味で支えになれるような人間になろうというオーラがあった。
いいメッセージ性があって見せ方さえ違えばな、という惜しい作品だった。
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