ワルキューリ

ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれたのワルキューリのレビュー・感想・評価

3.9
2013年ボストンマラソン爆弾テロ事件、偶然現場に居合わせた主人公ジェフをジェイクギレンホールが演じたヒューマンドラマ。

この世界の片隅でジェフを追い詰めるのは犯人の悪意じゃなくて、むしろ無邪気かつ好意あふれる周囲の掛け声。その期待に応えられるだけの価値はあるのか?という疑問に苛まれ、押しつぶされていく。

唯一の救いの元カノはジェフの立場になって動いてくれはするものの、彼からの好意を素直に受け入れることもできないジレンマに悩まされているけど、その負担を余裕のないジェフが察せないもどかしさ。

ジェフの心境を象徴的に表すシーンがアイスホッケーとメジャーリーグのスタンド。前者では声援が逃げ場なく覆いかぶさるけど、後者では晴れやかな青空になる。

ジェフを救うもう一人のキーパーソンにも貧しい移民層という現代アメリカの不都合な真実が隠されているけど、その彼が奇しくも他所からやってきた者の手で被害を被った白人を救う、二重構造になっているのが運命的だった。