2013年のボストンマラソン爆弾テロ事件で両脚を失ったジェフ・ボーマンの実話がベース。様々な困難にぶつかりながらも乗り越え、強く、逞しく頑張ってますみたいな感動ストーリーかなと思いつつ観ると、結果はそんな感じなんだけれど…。
邦題の副題は「ダメな僕だから英雄になれた」とあるけれど、このダメ男っぷりがなんともはや。事件の被害にあう前からダメなんだけれど、両脚を失ってからはその不幸に自らの力で向き合うことなく押しつぶされそうになり、他者の情にすがろうとするだけ。
障害の有無に関係なく、人は健気に頑張っている人を応援し、ひねくれたり、だらしなかったりする人は、はじめこそ何か事情があるのだろうと思って優しい目で見ていても、そのうち愛想をつかしてしまう。
そんなジェフが何故、英雄になれたかといえば、最愛の女性エリンのおかげだろう。色々あってブチ切れたエリンに、マジで見捨てられるという危機感を抱いたジェフは本気で心を入れ替える。
しかし、ブチ切れた人に心を入れ替えたといくら口で説明したところで通じないので、ジェフはエリンに認めてもらうため行動に出る。その行動はボストン中を熱くするとともに、ダメ男ジェフが一皮むけたことを象徴するものだった、と。
この物語が中心に据えているのは、事件で一躍有名になったジェフが人々の感動を呼ぶことではなく、ダメ男が大好きな女性に尻をひっぱたかれ成長するというある意味、誠実で正直な話だから、爆弾テロ事件という素材の割には、地味な印象になることは否めない。
だから動員のためにジェイク・ギレンホールを主役に据えて頑張ってもらおうという感じの映画ではないのかな？ ジェイク・ギレンホールはさすがの演技だったから、私も含め皆が彼に感謝ですな、きっと。
●物語（50％×3.0）：1.50
・世界的な事件の割には小粒な話。ガッカリはしないけれど、ちょっと違う感が残るかな。
●演技、演出（30％×5.0）：1.50
・ジェイク・ギレンホールを魅せることで持ったかと。
●画、音、音楽（20％×3.5）：0.70
・主題歌が良かった気が。
