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ピュア 純潔のsatchanのネタバレレビュー・内容・結末

ピュア 純潔(2010年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

スウェーデンの映画。
カタリナ役の女優さんが綺麗でした。見覚えがあると思ったら、『リリーのすべて』の奥さん役だった人ですね。アリシア・ヴィカンダーさん。『リリーのすべて』ではアカデミー助演女優賞を受賞していて、受け皿の大きい女性を演じていました。あの映画では貫禄さえ感じたけど、本作品では初々しい。北欧のTVシリーズで注目を浴びた後、初めての長編主演映画とのことです。

カタリナは売春してしまったり、酒浸りの母に反抗したり、職場の子どもに暴力を振るったり、荒れた生活をしています。本人なりに、何とか今の生活から抜け出そうとする中、クラシック音楽に救いを見い出す辺りから物語は始まります。コンサートに出かけ、益々音楽にのめり込んでいくのでした。こっそり忍び込んだコンサートホールで、求人していることに気づき、過去の履歴をでっち上げて、受付の仕事を手にするところはお見事。この辺で、カタリナの怖さに気づくべきでした。

受付嬢の仕事を始めると、指揮者のアダムがキルケゴールやら、詩人の本をちらつかせて、知性でカタリナを惹きこみます。アダムがカタリナを誘う時の視線と頭を横にふる合図が慣れていて、怪しげな大人な感じ。アダムは奥さんがイタリアへ行っている隙に、カタリナを家にまで連れ込み、またしても書物で知性披露&啓蒙作業。純真なカタリナは、すっかりのぼせ上がり本気になってしまいます。でもその後、アダムがもう会えない、とあっさりカタリナを捨てるのです。その上、しつこいとか言って、仕事の口まで取り上げ、カタリナを解雇してしまいます。アダム役のサムエル・フルーレルは、『セッション(2014) 』の指揮者役をしたJKシモンズの雰囲気だけど、本作の方が先ですね。

カタリナは彼氏とも別れ、母親は倒れて入院、住む場所もなく、図書館で過ごしたり、公衆トイレで体を洗ったり、底辺の生活を彷徨います。そして、またコンサートホールを訪れ、アダムに再会するのですが、酷い言葉を投げつけられ、カッとなってアダムを窓から突き落とすのでした。せっかくモーツァルトに目覚め、仕事にも就いて、順風満帆に思えたのに、軽々しく指揮者と寝たばっかりに、殺人の罪で投獄か…そう思いました。が、しかし、まさかのエンディング。そうきましたか…とゾッとします。カタリナは何事もなかったかのように、逃した仕事をゲットして働いているのです。カタリナの語りで「(殺人のことは)誰も知らない」と言ってたけど、元恋人にはアダムが浮気相手と認識されてるはず。足がつかないのが不思議ですが、そんなこともあるかな?更生して元気に生きて欲しいけど、気になる終わり方でした。
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