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スパロウズのkonomoのレビュー・感想・評価

スパロウズ(2015年製作の映画)
3.6
母親が再婚相手とアフリカ放浪(たぶん)に出ることになり、アイスランドの田舎町に住む父親と暮らすことになった少年の物語。
テレビにも出るような聖歌隊で歌っていて、都会育ちの主人公が、漁!猟!酒!労働!セックス!ドラッグ!それ以外なーし!みたいな世界で暮らさざるを得なくなる。父親は離婚のショックもあって酒浸り。仲の良かった幼なじみには無駄に嫉妬深くて暴力的な恋人がいる。
出たいけれどまだ出られない(いずれ出るにしてもどうやって?)、コミュニティに入るには、そこのやり方(つまり酒!セックス!ドラーッグ!)に従うしかない。馴染んでいくにつれて失われる何かを、ここで映画を観ている自分はありありと感じる。
どんよりした空と薄明かり、寒々しい風景が、閉塞感と諦観にぴったり。

ああせめてこうしてあげて!と願った場面で主人公がそうしてくれたのにはほっとしたが、気持ちの沈む作品だったのも確か。

子アザラシだっこは夢のような瞬間だった。
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