TAK44マグナム

MEG ザ・モンスターのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

MEG ザ・モンスター(2018年製作の映画)
4.5
メガロドンだ!


古代に生息した全長20メートル以上を誇る巨大鮫メガロドンが、もしかしたら海のどこかで生き延びているかもしれない。
そんなロマンあふれるUMA話な小説「MEG」は何度も映画化の噂がのぼっては立ち消えてきました。
しかし、ついに中国資本がはいったおかげで製作され、何と主演がジェイソン・ステイサムだっていうじゃありませんか!
こりゃ期待するなって方がおかしい!
そんなわけで、観てきましたよメガロドンとステイサムのガチンコ対決を!

どうやら中国資本ということで拒否反応をしめしている方も多数いらっしゃるようですが、それが無かったら企画が通らないだろうし、仕方ないのではないですかね。
実際に、一度は製作費が足りなくて頓挫してますから。
確かに舞台は中国だし、主要キャストにも中国の俳優さんがいらっしゃいます。
けれど、思ったより人物の設定が多国籍であり、舞台が中国なのも最初からなのであまり違和感は感じられませんでした。
大した理由もなしに中国に移動する「トランスフォーマーロストエイジ」や「ロボコップ」に比べれば全然マシです。
ただ、メガロドンが襲うビーチも中国のため、すごいボディのブロンド美女が出てこないのがサービス不足ですけれども(苦笑)

あと、マグナム的にはレジェンダリー作品には必ず出演しているジン・ティエンよりも、本作のリー・ビンビンの方が好きなので、それも良かったかな。
「シルバーホーク」のリー・ビンビンも可愛くて良かったなぁ。
名前もビンビンなんて、ビンビンにしてくれそうで良いじゃないですか(←バカ)


お話は単純でして、よせばいいのにマリワナ海溝より深い場所を発見して探査していたらメガロドンが出現して探査艇が戻れなくなってしまいます。
そこで海難救出のプロであるステイサムが呼ばれるのですが、「No!」としつこいぐらい断りつつ、元嫁がクルーにいると知らされると仕方なく出向くのでした。

そこから始まるステイサムVSメガロドンの存続をかけた戦いは非常に面白いです!
陸でワニやらオオカミと戦うならドウェイン・ジョンソンがお似合いでしょう。
しかし、水の中ならステイサム一択!
元水泳のアスリートらしく、しなやかな水中アクションはステイサムならでは!
まさに水を得た魚、メガロドンを得たステイサムなのです!
メガロドンは古代のサメなので、もうこれは恐竜映画といってしまっても差し支えないと思うのですよ。実際、原作の冒頭ではT-REXを捕食してしまうぐらいの強者なのです、メガロドン!
つまり、「ジュラシックワールド」で無敵のモササウルスやT-REXに、単身ステイサムが挑むようなもの。
クリス・プラットは別に戦わないでしょ?
でも、ステイサムはラプトルなど頼りません!
己の肉体のみで巨獣に立ち向かい、あまつさえ勝利してしまうのですから、もう人類最強に近いじゃないですか!
ピクルか範馬勇次郎か!といった論争にステイサムも混ぜなきゃならない時代が到来したんですな!
とにかく、全編通してとんでもなくステイサムが格好いい!
役作りでサメと泳いじゃうステイサムがお茶目!
そして、あのマッスルボディを見たら、そりゃリー・ビンビンも惚れてしまうやろ!と納得する他ないのです。

でも、そのステイサムとリー・ビンビンのイチャイチャはあまり必要なかったかもしれませんね(原作にもロマンスがあるので準拠したのかもしれませんが)。
と言うのも、人間関係にも色々なドラマが薄口で絡めてあるのですが、いかにもとってつけた感が酷く、メガロドンと戦っている以外の部分のシナリオがかなり雑なのが目立ちました。
登場人物たちもギリ、キャラクターに肉付けはなされていますが、なにしろステイサムが(頭も含めて)光り輝き、ひとりで全部もっていってしまうので、他のみんなはその他大勢になってしまっています。
唯一、リー・ビンビンの娘ちゃん(8歳の地獄耳)だけがステイサムをくってましたね。
あ、あとワンちゃんが出てくるのですが、このワンちゃんも良かった。出番は短かったけれど。

しかし、おかしなところがたんまりとあってツッコミ甲斐のある映画ですよ。
少しばかり例を挙げると・・・
リー・ビンビンがステイサムの裸を窓から覗くのは「パシフィック・リム」ですか?
音と振動があっただけで、すぐさま娘ちゃんを心配してピンポイントで探しに行けるのはどうなの?
幼い娘ちゃんをわざわざ危険な決戦に連れて行くのはどうして?
あんなデカいメガロドンをどうやってクルーザーに上げたの?
結婚式やっていた船が無事なのは何故?
超深海には科学的に新種の生物ばかりだと言っていた割に知っているようなのばかりでしたけれど?
シャークゲージは壊れないだろうけど、相手のサイズを知っていてどうしてああなると分からなかったの?
・・・etc、etc。
何だか色々と説明不足なんですよね。
まぁ、一番ツッこめるのは、間違いなくステイサムの人間離れしすぎた活躍なんですけれど。
明らかにおかしいでしょ、あの人(苦笑)!


それにしても見せ場は多いです。超深海での救助や、次から次へと襲ってくるメガロドンの猛威、機動力が良すぎる救難艇の活躍、大殺戮が見られないとはいえ中国名物のすし詰めビーチ(まだまだ描写が現実より甘かったですが)にメガロドンが出現したりと、びっくり仰天のクライマックスまでにも沢山の見せ場が用意されていて飽きません。
あまりダレないのは、人間ドラマが希薄なのが良い方向に作用したのかもしれませんね。
こういった娯楽作品は、サメならサメ、メガロドンならメガロドンと、主役はあくまでもモンスターなのだと強い主張があった方が好みです。そういった点で、本作はメガロドンの迫力ある巨大感が体の芯まで響くようで合格でした。
ただし、それ以上にステイサムが凄すぎるんですが(苦笑)!

どうしても不満に感じたのは、前述した通り、海水浴客の大殺戮がないところ。
これはサメ映画に無くてはならない要素であり、普通ならここの出来次第で評価が決定するといっても過言ではありません。
では本作の阿鼻叫喚ビーチがどうだったかというと、やはりゴア描写は控えめだったな、と。
レイティングの問題があるからでしょうけれど、ザバーとやってきてパクッとやっておしまいです。
やはり寂しいかぎり。
劇中でのグロは、ちぎれた腕が見つかるカットぐらいだったんじゃないかな?
仕方ないのも理解できますが、せっかくのメガロドンなので、ヘリを破壊して落ちてくるパイロットとかをバラバラに喰い千切るぐらいの事はやってほしかったです。
例えば、「ジュラシックワールド」や「キングコング髑髏島の巨神」では少ないながらも人体破壊がありましたからね。
アレクサンドル・アジャの「ピラニア」ぐらいの地獄を見せて欲しかったなぁ・・・
そりゃ無理か(汗)


反対に感銘を受けたのは、メガロドンを退治した直後のある場面。
それまで無敵を誇っていたメガロドンも死ねばただの肉塊でしかない、それが最高に表現された名場面だと思いました。
なんとなく、「伝説巨神イデオン」の第10話(のドグマック)を思い出しましたよ。

昨今はおバカな設定のサメ映画がレンタルの棚や配信のリストを賑わしていますけれど、これだけ現実離れしたバカを大金をかけてやっているサメ映画が大ヒットしているなんて痛快じゃないですか。
願わくば日本でもウケて欲しいものですが、どうでしょうね?
それほど、クライマックスのステイサムVSメガロドンのタイマンはバカで素晴らしい!!
キレたステイサムの人間離れした荒技に度肝をぬかれましたよ!
もう、この映像を見られただけでお腹いっぱい、大満足ですよ!!
マグナム的に、シュワちゃんVSプレデター以来の衝撃でした。
サイボーグでも超能力者でもないステイサムが身一つでメガロドンを地獄送りにしてしまう!
最強で最高、これこそ真面目に作ったバカ映画の新たなるマスターピース!
監督の目指した、「A級とB級の間みたいな作品」という目標は、良い塩梅でクリアしているんじゃないかな。

たぶん、つまらないサメ映画に足りなかったのは、CGの技術や演出力よりも、圧倒的で有無を言わさぬジェイソン・ステイサムの存在感だったのです。
「フランケンジョーズ」や「ゾンビシャーク」をリメイクする際には(そんなのは永遠にないと信じていますが)ステイサムを呼んでくれば成功間違いなしなどと、本作のエンドロールを眺めながら要らない想像を張り巡らせていたのでした。
合言葉は「ステイサムを呼べ」で決まりです!
たぶん、ステイサムがあのクソ監督たちをブン殴って終わると予想しますが・・・(汗)


「MEGザ・モンスター」は、間違いなく「ディープブルー」、「ロストバケーション」に続くサメ映画の傑作です。
過ぎゆく夏の終わりに、メガロドンとステイサムを味わってみるのもオツなものですよ〜!



※IMAXは迫力が違うのでオススメします。3Dも堪能できる出来でした。
4DXも体験してきましたが、親和性が非常に高く、何より水しぶきがバシャバシャかかるシーンがあります。
動きもかなり連動していて、ステイサムカッターのところでも妙な体感が出来てオススメです。
料金は高いですが、長いアトラクションを楽しめると思えば割も合うのではないでしょうか。



劇場(109シネマズ湘南・IMAX3D、小田原コロナワールド・4DX)にて