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MEG ザ・モンスターのJIZEのレビュー・感想・評価

MEG ザ・モンスター(2018年製作の映画)
3.7
約200万年前に地球の温暖が変化し絶滅したと噂される海の絶対王者"メガロドン(通称:MEG)"を相手に深海の謎を調査する科学者たちと5年前の海難事故で一線を退いた元救命ダイバーが甦り君臨する化物に奮闘する様を描いた米中合作の海洋アクション映画‼まず主題を命名すれば全編の8割強が"ステイサムVSメガロドン"の凄まじい内容だった。直近で例えれば対決だけを主軸に描いたバーサス版『ジュラシック・ワールド 炎の王国(2018年)』みたいな海底王者モササウルスと四六時中闘うかの造りを徹底させた手触りである。また系譜は今年観た『ランペイジ 巨獣大乱闘(2018年)』の力量の凄さを前に太刀打ちできないデストロイな雰囲気にかなり近い。作品の構造は大まかに3度のラウンド形式で展開され文字通り"恐るべき戦闘"に幾分特化させた内容である。なのでドラマ性の薄さや犠牲者へのモーションは比較的にぬるい作品だと称せれた。序盤でステイサム演じるジョナスが探査機で深海に潜る際に不必要なパワー源を全部オフにし基地にいる本体との通信を切る一幕は爆笑した。彼が深海に潜る前に空気が変わったように一呼吸何秒か置いて決意を込めるああいうシーンの雰囲気(意図)はすきだなあ。また本作は米中合同で潤沢な予算があるせいかCG技術やあらゆる規模のデカさはA級映画として賞賛に値した。が,アジア感の表現が本題の"未知の領域を開拓する"意図と合ってなかった気がしました。中国色だけに趣を置いた会話描写やそれ自体には意図がない描写は控えめに云ってもダサいしそのシーンだけ場の空気感が静止してる感じも否めない。少なくとも傑作『ディープブルー(1999年)』を凌ぐ壮大なる舞台,敵の凶悪性,生存者の適度な頭数が機能してるなかでテリングの導きかたに妙な断絶感があり描き込みに惜しい印象を覚えてしまった。客観的に観て中国人が交わす感動シーンの毎回ここぞとばかりのあざとい描写はこの作品に無用だろう。あと巨大ザメ以外に現れる巨大○○にも見所としては注目だ。

→総評(すべてを噛み砕く超凶暴ザメの襲来劇)。
総じて最新の恐怖サメ映画としては一級品だが材料の置き方にやや齟齬が生じた外観と内容に多少のギャップがある作品だった。主に海溝への降下,シャークゲージを用いた捕獲作戦,高度な速度を有する小型潜水艇など盛り上がる要点を確実に押さえてはいる。が,アバウトに例えれば"格好いいけど格好悪い"みたいな中国(映画)としての胡散臭い背景を組み込ませた事で本来の旨味がだいぶ減退していたように感じました。ただ近年のVSサメ映画で云うと『ロスト・バケーション(2016年)』や『海底47m(2017年)』は凌駕した印象を覚える。潜水艇まで噛み砕いて軽々と呑み込む凶悪なメガロドン本体のけれん味であったりステイサム自身の頭の回転の速さとジブンの命を惜しまない行動力の凄さなど主人公と敵を重厚に魅せる個性の固めかたはこの上なく素晴らしかったであろう。いわゆるそれ以外で何が微妙だったのか..."主要キャラ以外の適当な個性付け"だと感じた。犠牲者が出る一幕でもキャラに対して思い入れがゼロなためいまいちのれずキャラの存在性を掴むのに前半であまり工夫が凝らされておらずサメ映画としては不敏な作品だったように感じてしまった。この他にマシ・オカ演じるトシの存在にしてもキャラ性が極端に薄く一旦何かで活躍させといてからの...あれをぶっこませたほうが使い道があったのでは。また振り返れば最初に登場する本舞台の海洋研究施設だけで場所を集約してサスペンスを描いても良かった気がしました。終盤で小型ヨークシャーテリアが飼い主の元を離れメガロドンが棲息する海中で懸命に犬かきする描写は私自身も前にヨークシャを飼ってたためフォルムのチャームも併さり癒された笑。特に前半は巧妙に脚本が練り込まれ例えば探査機の上昇により海溝で温水の通路が縦長に生じた事でそれを利用して敵が浮上する不穏性の魅せかたもお手の物だった。というよう監督も各方面のインタビューで答えてるよう本作は「ポップコーン映画として気軽に楽しんでもらえばいいよ」と超軽めに作品の方向性を謳いあげてるため深い考察や国際性の批判は抜きに俳優ステイサムの絶妙な芝居を続編シリーズ化を望みつつも大画面の劇場でぜひ目に焼き付けてもらいたい。
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