タミオカ

MEG ザ・モンスターのタミオカのレビュー・感想・評価

MEG ザ・モンスター(2018年製作の映画)
3.8
Twitterの方でも書かせてもらったように、原作小説は1997年のもの。原稿の最初の数十ページを読んだディズニーの買い付け担当者が映画化権をゲットしたそうな。

えっ、ディズニー?と思われるだろうが、それもそのはず原作の最初の数十ページは深海冒険アドベンチャーになっていたのだ。そこからグイグイとサメサメパニックに変貌していくのだから、ディズニーのお偉方もビックリしたことだろう。

権利を持て余したディズニーがそれを放棄して、さらに別会社に渡って~と手をこまねていている間に奴らが動き出す。そう、B級映画製作会社だ。

2000年代に入った頃からB級映画を扱う各社から「メガロドン」をテーマにしたサメ映画が量産される。もちろん、どの作品の出来もしょっぱいものだった。

かくして「メガロドン」という魅力的なキャラクターはエクスペンダブルされた。往年のアクションスターたちのように。

平成も終わる今、サメ映画界のサメたちはゾンビ化したり霊体化したりタコ化したり、トルネードでサーフィンしながら人を食らったりと節操がない。
デカイだけ(しかも真面目に種としてあり得る範囲で)のサメがお呼びでないのは間違いない。

にもかかわらず、この映画に関わった連中はそんな「メガロドン」に賭けたのだ。巨大サメのいる海に迷わず飛び込むステイサムなみに「かっけー」連中なのである。

そうそう、メガロドンの相手役に「エクスペンダブルズ」の主要メンバー、ジェイソン・ステイサムを据えているあたり最高に気が利いている。

本作はメガロドンとステイサムのダブル主演の形になっている。
「サメがいないシーン」で観客の気をどう引き留めるかというのは、サメ映画の永久課題である。本作はそれに対して一つの解法を示す。

本作ではメガロドンがどこぞで泳いでる間、ステイサムがシャワーを浴びたり腹筋を見せつけたり、眉間の皴を寄せたり寄せなかったりしているのだ。
観客が退屈しない実に巧い構成だ。

クライマックスの決着は原作と違ってかなり映画的。いや、ステイサム的とでも言うべきか。正直ステイサムでなかったら「いや無理だろ」と失笑を買うところが、彼が演じると説得力が出るのだから不思議なものだ。

原作では滅びゆく種に対しての愛情を匂わせていたのに対して、映画の方は思わず口が開いてしまうほどあっけらかんとしている。
実際「メガロドンの保護を」と切実に訴えていたキャラクターが退場した途端に誰もその意見を尊重しなくなるというのは、あまりに悲しくないか。

それにしてもこんな企画にも大金はたいてくれるんなら、チャイナマネーも悪くない。
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