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MEG ザ・モンスターのdm10foreverのレビュー・感想・評価

MEG ザ・モンスター(2018年製作の映画)
3.7
【ザ・チャリウッドムービー】

CMの映像の時点で若干危険な匂いは感じていました。
アジア系の女の子が海洋施設の中を歩いているときに巨大なサメに遭遇する例のシーン。
昨今の流れも影響しているのか、ハリウッド映画でアジア系が出てくる場合、99%以上の割合で中国人が出てくる。
それまでの「アジア系の登場人物」というポジションではなく「中国人」として。

別に中国人が嫌いとかそういう意味ではありません。
そもそも大作映画を作るのに何十億、下手すりゃ100億単位の資金が必要になることを考えれば、メガスポンサーの意向を呑むことくらいは朝飯前。
今までの映画だってスポンサー様々なものは沢山あったしね。

でも、今回の映画でハッキリと実感した「ハリウッドの劣化」。
監督の才能とか映画を作る技術(CG等)とかそういう事ではなく、『ハリウッド』という名の下に今まで数々の名作を創ってきたという「自負」とか「プライド」というものはいったい何処へ行ったんだろう・・。

この作品そのものの評価としては「それなりに面白かった」と思う。
今まで人類が信じてきた「この地球上で一番深いのはマリアナ海溝と母親の愛」という定説をひっくり返す「水温躍層」の更に下の存在。そこには人類が今まで目にしたこともないような世界が広がっていた・・・っていうところから太古の昔に絶滅したはずのメガロドン(通称MEG)が生きていた!というストーリー。

ヒーローはご存知ジェイソン・ステイサム(ジョナス)。
彼は過去の救助活動で死者を出してしまったことがきっかけで、この世界から足を洗ってタイで隠遁生活を送っていた。
しかし、水温躍層下の調査に向かった潜水艇が何者かの襲撃によって航行不能となり救助が必要となってしまう。しかもその潜水艇のパイロットはジョナスの元妻ローリーだった。

正直、こんな理由でもない限りジョナスが再び海に潜る必要がないよね。というかその為だけに遭難したのが「元妻」にしたといえるくらいの強引な設定・・・。

なんでこんな言い方をするのかというと、せっかく救出したはずのローリーの扱いがやたら雑。物語中盤から終盤にかけては存在意義すらわからない始末。別に何か手伝ってくれるわけでもないし・・・。
それよりもスーイン(リー・ビンビン)を前面に押し出さんが為の設定が延々と続く。

ここまで来ると「いったい私は何を見せられているのだろう?」という気持ちすら浮かんできて、どうにも映画に集中できない。
スポンサーの意向を汲むなとは言わない。それ自体は今までもあったことだし。
でも、この内容の映画を「ハリウッドが作ったこと」そして「ハリウッドに作らせたこと」の罪は大きいと感じる。

正直言って恋愛パートに至っては展開はおろか必要性すらまるっきり感じないし、お涙頂戴パートは中国人同士でたっぷり尺を使うし・・・

「ひょっとしてジェイソン・ステイサムってバーター?」
っていうくらいの扱い。

映像はそれなりに迫力もありました。ストーリーもいい意味で重過ぎなく「サメ映画」のセオリーも守られます。なので3.7をつけました。

でもこの設定にするなら中国で作ればいい。
わざわざハリウッドの名前を使ってジェイソン・ステイサムにこんな事もさせずに。

なんだろうか・・・ストーリーとは関係のないところで悶々としたこの気持ち・・・。
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