かなり悪いオヤジ

MEG ザ・モンスターのかなり悪いオヤジのレビュー・感想・評価

MEG ザ・モンスター(2018年製作の映画)
1.7
仕込みと思われる白人男が大して面白くないシーンで一人ゲラゲラ笑っていたのがただ印象的な、まさにハリウッドが中国資本に媚びを売った情けなーい1本。完成までに監督、脚本、プロデューサー、キャスティング等が2転3転したということは、なにかしら胡散臭い圧力がかかっていた証拠であり、無論それはアリババを介した政権中枢から発せられたものとみてほぼ間違いない。

元飛び込み選手のジェイソン・ステイサムこそ、海の中でも美しいアクションを見せてくれたが、子連れヒロイン役のリー・ビンビン(45歳)からサメが襲いたくなるようなフェロモンは一切感じられない。胸の谷間すら見せない地味なウエットスーツに身を包んだビンビンにはシナシナだ。すでに峠をこした中年女優を使わざるをえなかった理由をここで説明するまでもないだろう。

絶滅したはずのメガロドンが何故現代に甦ったかの説明もなく、いきなり米国原子力潜水艦に体当り。中国屈指のリゾート海岸(にはとても見えない)三亜湾の海水が江ノ島以上に濁っていてMEGの大きさがよくわからない始末。まんま海上石油プラントにしか見えない深海研究所で働いている研究員は、なぜかDJにメタボ、パンクロッカーにアニヲタといった、中国人が抱く外人のイメージそのままの風貌で登場する。酒に溺れていたはずのステイサムはいつもながらのキン肉マン、初めての潜水艇を流暢に操るこの男に操作マニュアルなど読む暇はどこにもなかったはずだ。

最近は一帯一路という陸路に目が向いている中国だが、この映画は要するに、南沙諸島に建設中の海洋進出軍事拠点に何かとちょっかいを出してくる米国に対する牽制だったではあるまいか。あんまりウロチョロしすぎるとサメ(中国海軍)が黙っていませんよ、と。しかし所詮はCGでこさえたハリボテ鮫、(その実力は日本の自衛隊と大差ないとさえ噂される)実戦経験の殆どない人民解放軍のメタファーとしては相応しいのかもしれない。