生姜異物強壮

MEG ザ・モンスターの生姜異物強壮のレビュー・感想・評価

MEG ザ・モンスター(2018年製作の映画)
2.7
最近とみに増えた米中合作。つか『スカイスクレイパー』に続く、中国資本主導による傀儡ハリウッド製のパニック映画。

日本も経済成長著しい時分は、札束の力で日米合作モノを幾つか手掛けたが、あくまで日本的要素が主、アメリカ的要素は従で基本「日本映画」という一線を崩していなかった。

見た目(まったくフツーに)アメリカ映画の体裁だけど、実は日本人目線が深いところに微妙に影響してる…という形の異文化間交流マーケティングは1989年、ソニーがバブルの余勢をかってコロンビア・ピクチャーズを買収することにより初めて始まった。

中国共産党政府は、この日本の"成功例"に倣ってハリウッドの大手映画会社を手中に収めたいのだが、どっこいコロンビア買収を最後に、アメリカ映画界は海外資本による映画文化の乗っ取りに警戒を強め、中国の思うように獲物を喰わせてはくれない。

しかたがないので自国プロダクションを通じ、とにかく「米国の観客を動員できそうな」娯楽色の強い作品企画にカネだけは気前よく提供。見返りに中国ロケを課し、メインキャストに中国人俳優を交え(中国の内外政に批判的な演出が含まれないことだけ検閲す)る以外は、アメリカ制作会社の好き勝手に撮らせる、という方策に出た。

アメリカ社会の裏側からくすぶる中国(=中国人、中国の政治体制、中国カルチャー全般 etc.)への反発感情を(やわ)和らげ、徐々にでも懐柔。 幾何かでも、非中国系の米国人の間に親中感情、願わくば中国語や中国文化への憧れを醸成することが目的だ。

こういう、一党独裁の統制受け容れよう?みたいな洗脳もどきの魂胆が見え隠れするだけで、結構(それ、致命的にダメじゃんよ;と)興醒めしてしまう自分は、この種の米中合作映画に漫然と、かつ愚鈍にハシャいで居られないのだな。

ということで、観る前から減点「星ふたつ分」…の割には、まあ中庸の出来と言えたか。

企業の海洋プラントが舞台、というところは1989年のSF大作『アビス』を想い起こす。あのときは巨大水槽での実写による深海描写が主だったが、CG万能の今だったら どんな描写が出来るだろうか??という問いは本作で(まざまざと)見させてもらえた気がする。そこだけは感謝かな。

あと、一頭倒して安堵した矢先、もっとデカいのが居た!!?という中盤のくだりは『GODZILLA 怪獣惑星』と思いっきり!かぶってたね。 すんげェ既視感、覚えたわw