RIO

ファーティマの詩のRIOのレビュー・感想・評価

ファーティマの詩(2015年製作の映画)
4.0
アルジェリア移民のファーティマは清掃の仕事をしながら2人の娘と住んでいる
清潔な洗い立ての布が色合いと風合いが美しい

ネタバレしてます

フランス語をうまく話せないことがストレスになっている
ファーティマの苦悩から自分の存在の意味を見いだしていく静かに綴られる言葉が横糸のようです

フランス・リヨンで家を借りるにも私が頭にスカーフを巻いてたからとかマグリブ出身だとバレたからとか立ちはだかる人種の壁

ファーティマがネスリーンのためにクスクスを作ってあげる手が優しい
医者を目指している娘の手を高貴な手で掃除しかできない自分の手とは全然違うと言った
娘を育てて生きていかなくてはならない

対峙する縦糸と横糸

ネスリーンが頑張るファーティマを考えると死んでも落第はできない
限界を超えてるのに止めることができないと叫ぶ
ぼろ布のようになっていく母親に苛立ちを感じるスアードの寂しさも切ない

ファーティマは日々の思いを綴った詩にあった
誰もが口を閉ざして糧のためだけに働いている
その誰もがにいつの間にか自分もなっていた

頑張れば頑張るほどお互いの距離が空いてく
それでも家族がからっぽにならない
その秘めた力を感じるラストのファーティマの静謐さが素晴らしかった

時に私は私に叫び 娘にも叫ぶ
RIO

RIO