見終わった後に胸に広がる日常的な暖かい幸福感。
恋人を亡くした青年と、姉を亡くした女性、そしてその家族。死を乗り越えるために、受け入れるために足掻く彼らの日常に潜む静かな幸せや感動、哀しさを描いた作品。
構図や色合いがどこを切り取っても美しくてスナップ写真集か、もしくわ美しい散文詩集を見ているような気分になる。ストーリー自体に派手な展開はなく淡々と彼らの送る日々を綴るが、何気ない毎日の中の瞬間を鮮やかに切り取るような作風なので全く退屈しない。むしろ引き込まれる。本作はいわゆる人生を変えるような映画、ではないと思う。しかしどんな映画よりも今の自分に寄り添ってくれる作品であると思った。
