先に観た『アマンダと僕』同監督作品を鑑賞。
それにしても今作もまた、生と死の描き方がとても優しくて繊細で心に沁みる。
映像の質感そして作品から漂う透明感も雰囲気も匂いですらよく似てる2作品。またそれがとても好き。
突然大切な人を亡くした絶望、そこから再生へと向かう人の心の弱さも強さも全てひっくるめて愛おしさすら感じる。
今回の主人公は恋人を失った青年と姉を失った妹と言うまた微妙な関係。そこまで濃密な関係性とは思えないところだけれど、もしかしたら結婚も近い2人だったのだろうか...と想像を膨らませてみたりした。
ベルリン、パリ、ニューヨークと場所を変えながら色んな人間関係の中で少しずつ癒される心の空虚さ。時間の流れは時に残酷でもあるけれど心の再生にはやはり一番の薬となるのだ。
絶望の淵、全く色を持たなくなったであろう景色が徐々に彩度を持ち最終的に真っ青に染まったジャケのシーンでは、その再生を見届けたかのような清々しさに包まれた。
そういう意味ではまさにジャケのイメージ通りの作品であり、観終わってより優しさと希望が際立つ作品でもあった。
何気ない日常が無性に愛おしく感じられ、またその日常が続くという保証は何処にも無いということを実感させられる作品だった。
