ちろる

奥深い水の中でのちろるのレビュー・感想・評価

奥深い水の中で(2016年製作の映画)
3.8
この深い、そして暗い精神世界を美しい映像で観せるようなこういう内向的な作品は個人的にはとっても好み。

最初に流れた子宮の中の羊水を模したような、深い水の中の映像が暗いけどなぜか心地良く、出来れば大きなスクリーン観たいなと思う作品でした。

自分の生まれた意味を知る事、生まれた時の秘密を知る事は、人が自分自身のための人生を生きていくためには必要なのだと本当に思う。

私自身は忘れてしまっているけれど、私は「胎内記憶」といつものの存在を信じてる。
双子ではないし、片割れが死産になったという事実も(恐らく)ないけれど、もし胎内記憶が人間だれにでもあるのなら、この主人公たちは皆まるで心を半分にされて生きているような気持ちなんだろうと思うし、その「なにか」が足りない気持ちが凄くよく映像で表現されていました。

まるで相方の人生に乗っかって必死に生かさていると言った女性の言葉と、その時の死骸のような片割れと戯れる、不気味な映像が忘れられない。

始終暗いけど、自分の探している「なにか」が心の中でちゃんと理解出来た時、いつからでもでもやり直せると思わせる希望のある終わり方が救われました。
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