ネネ

パニック・イン・ザ・ヴィレッジの新学期のネネのレビュー・感想・評価

4.3
第6回マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバルにて鑑賞。
カートゥーンネットワークで放送されているストップモーションアニメの映画版。
なんとも不思議な世界観で、とくに興味深いのが、家族のあり方。
この作品世界では、家族を構成する上で、血の繋がりは全然関係がないようなのです。

たとえば主人公であるカウボーイとインディアン。
ふたりが兄弟のように暮らしていて、しかも父親ポジションが馬。
(この映画では、動物が人間のように扱われるのかな? この馬はつまりお父さんかな? あのCMの犬のお父さんのように)
そう思ってみていたら、衝撃のセリフが。

「ねえ、馬」

え、馬って呼びかけた!?
……どうやら馬は馬らしいです。
うちのお父さんは犬です、とかそういうことではなくて、お父さんっぽいことしてるけれど、馬は馬でした。

他の家庭も同じような感じで、牧場を経営する人間夫婦と動物たちが家族として共存し、部屋中動物のポートレートで埋め尽くされるほど、溺愛されていたり。

「当然こうだろう」と思いこむ考えのしがらみのようなものに、本作は全然囚われていません。
自由な発想が、作品全体を伸び伸びと豊かなものにしている印象を受けました。
物語の展開においても、進むほど世界が膨張するかのような不思議な広がりを見せていきます。
広がるのは、夢の世界や空の上まで。
最終的には宇宙まで。

月までの距離をはかるために、カウボーイとインディアンが、本を積み上げて階段にし、空へ昇っていく場面がとても好きでした。
ネネ

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