タカ

ブルーハーツが聴こえるのタカのレビュー・感想・評価

ブルーハーツが聴こえる(2016年製作の映画)
3.5
青い心

生まれて初めてブルーハーツを認識したのは香取慎吾主演ドラマ『人にやさしく』で流れる曲
そこから徐々にディスコグラフィーを辿ってみたけれど、このドラマで主題歌となった『夢』がやっぱり個人的ベスト
甲本ヒロトさんのまっすぐな歌声とメッセージ性の高い歌詞
ブルーハーツの楽曲には人を惹きつける力がある
解散から25年経過した今でもCM、ドラマ、映画など多方面からその歌声が聴こえるのは世代を越えて愛されている証
この映画はブルーハーツ結成30周年をきっかけとして制作されたオムニバス映画
各編ともブルーハーツの楽曲と同様にかなり尖った内容になっている
個性が見え隠れするのがやはりオムニバスの醍醐味


「ハンマー(48億のブルース)」
コントのようなセリフの応酬
会話のキャッチボールで笑いを誘うのは好きだけど、あまりに矢継ぎ早に詰め込んだセリフで笑う間もなくなっちゃう
やっぱり"間"って大事ですよ
ここからここは笑ってくださいよ〜という時間を設定するだけでだいぶ違うと思う

それにしても演者が豪華すぎ❗️
尾野真千子、角田晃広(東京03)の露出は当時から多かったと思うけど、女子高生2人組に据えられた萩原みのりと伊藤沙莉
今や引っ張りだこの2人をメインに持ってきているのがすごい

たまに飛び出る良い言葉
「そんな削ってどうすんだよ、お前自体がいつかなくなるぞ」
許せないことなのに自分を削って許し続ける
そうだよなーとまっすぐ受け止めてしまう
ハンマーを憂鬱をぶち壊す象徴として捉える解釈も好き
この映画の中で一番好きな作品だった

「人にやさしく」
ディストピア風のSFアクション
何かしら問題を起こした人々を強制労働所へ運ぶための宇宙船が舞台
アーティストの楽曲がテーマなのにトリッキーな設定
加えて登場人物のクセもすごい

勢いに気圧されるていると
宇宙映画あるあるの展開に
密室を活かした会話劇の良さもさほど活かされず
う〜〜んとなってしまう

その角度からの"人にやさしく"なのか!
そういう視点はありっちゃありかもしれないけど、さすがに入り込めない
異種に向けたものじゃなくて同種に向けたエールだと思うんだよね
個人的にはすごくミスマッチに思えてしまった
そして最後がだいぶ安っぽい

「ラブレター」
アブノーマルな青春恋物語
ぶっ飛びすぎた展開にただ笑うしかない
ジョニーデップ主演のあの映画をオマージュしたような設定は面白いし、ただ幸せになってほしいという感情から来る行動原理はうなづける
キレイすぎるけど、青春はキレイでいいじゃない

便器に吸い込まれてしまうようなコメディ要素もわりと好き
なるライトなタッチで進んでくれるのが良い
にしてもイケてない奴らが大人になると斎藤工と要潤になるなんて…
それが一番おとぎ話の世界に思える

あなたよあなたよしあわせになれ

「少年の詩」
大人に対しての反感
それを丁寧に丁寧に描いた作品
憧れのヒーローと母親に向けた不信
反抗期やってるわぁ〜
深読みして思い込んで囚われ続ける
勘違いだったらそれで終わるけど、もし本当だったらナイフを持つのかもなぁ……

ボンバーカッター
正義とは何なのか
信じたものは何なのか
走り出した少年の決意が勇敢に映る

清水崇監督なんやね
ホラーのイメージしかなかったけど、こういう作品もやるんだね〜
牛乳瓶を投げちゃうのはホラーかも

「ジョウネツノバラ」
一番意味が分からない作品
自分の感性の限界を突きつけられた気がする
"いつまで経っても変わらないそんな物あるだろうか"
まさにそれがテーマな気がするけれど
そこまでの情熱を注ぐバックボーンすら描かれないから推察するしかない
こりゃキビしい

「1001のバイオリン」
東日本大震災を題材とした骨太な作品
家も仕事も学校も生活も
何もかも変えることを余儀なくされた人々
自分が慮ることなどできるはずもない
"諦めが悪い"と思うのはある意味で前向きなのかもしれないけど
それは当事者じゃないからこその勝手なお世話で忘れる方がよっぽど楽なこともあるだろう
安易に同調はできない

ただ人々を映す中で流れる曲の壮観さが何とも言えず感動を誘う
"おもしろい事をたくさんしたい"
バイオリンの音色が心をつく

やっぱり音楽の力は偉大だなと再認識した
ブルーハーツやっぱいいね👍
『月の爆撃機』でも聴こうっと
タカ

タカ