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ブルーハーツが聴こえるのだまのレビュー・感想・評価

ブルーハーツが聴こえる(2016年製作の映画)
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6つの曲をテーマに描かれる個性溢れる短編オムニバス。高校時代ブルーハーツを聴きまくってた自分には個々の曲の解釈が新鮮でどの作品も驚きと感動に満ちてた。なぜブルーハーツを聴くと涙が溢れるのか。その理由を改めて感じさせてくれた。

『ハンマー』絶妙なテンポで繰り広げられる会話劇。自分の若い頃を思い出し主人公の悩みに思わず共感。ハンマーを振り下ろす尾野真千子さんが素敵。伊藤沙莉ちゃんが面白くて可愛い。前に進むために今の自分を叩き壊す。そういう勇気が必要な時もある。

『人にやさしく』この曲でまさかのSFアクション⁈ と思いきや色々と考えさせられる内容。密室劇のため俳優の個性が際立つ。作中では描かれないそれぞれの生き様を感じさせてくれる程の熱演。世界は変えられなくても自分は変えられる。そう信じる事が大切。アクションシーンの迫力も見応え充分。

『ラブレター』笑いまくって泣きまくった。ハチャメチャなのに王道ラブストーリー。こんなの井口監督にしか撮れない。やっぱり監督大好きだ。斎藤工さんと要潤さんはどうしてこんなに三枚目がハマるのか。お二人ともあんなに素敵なのに。便器に吸い込まれていくお二人が最高。ヒロインの笑顔が切ない。

『少年の詩』曲の使い方が最高にカッコ良かった。特に最後のフレーズの流れるタイミングが最高でグッときた。子役のアクションシーンの見せ方が凄い!と思ったらアクション監督が坂口拓さんで納得。昭和の懐かしい空気が感じられてほっこり。

『ジョウネツノバラ』狂気の愛。全くセリフがなく表情と動きだけで全てを演じる永瀬正敏さんの表現力が凄まじい。水原希子さんの美しさに感動。あんなに美しい死体は彼女にしか演じられないと思わせる説得力があった。独特の世界に魅せられる。

『1001のバイオリン』震災後の福島。映像で見るとやはりずっしりとした重さを感じる。現実にも遣り切れない思いを抱えたまま新しい生活を送ってる方はたくさん居るのだろう。世の中の理不尽さを笑い飛ばし蹴っ飛ばしてきたブルーハーツの曲の力をいちばん強く感じた作品。さすがの李相日監督。
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