ikumatsu

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのikumatsuのレビュー・感想・評価

4.6
想いが込められた音楽や物語、絵画が時代を越えて受け継がれるように、何かに落とし込まずとも人の想いに形があったのなら。

強い気持ちが形となって残り、その想いとは別次元で徐々に変化していく。溢れんばかりの愛も少しずつ何が何だか分からなくなっていく様は、たまらなく切なくて胸を掻きむしりたい衝動に駆られる。手を差し伸べることさえも、ましてや存在に気がつくことさえもできない自分の不甲斐なさ。もしかすると今わたしの横にもそんな想いの塊が存在しているかもしれない。

想いの昇華と共にファッと床に放たれたシーツ。やっとだね…と嬉しくもあり、同時に終わりがやってくると分かっているガラス細工が散ってしまったような儚さに涙が出た。

おばけのメインビジュアルがファンタジーを連想させて長いこと躊躇してきたけれど、友人の強い勧めで鑑賞して本当に良かった。一方向に向かうだけの矢印でもなく、目を開けていてもどんな夢だって見られる、たっぷりと余白を含んだ作品。ロマンだ、ロマン。くすん。
ikumatsu

ikumatsu