ShinTakeuchi

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのShinTakeuchiのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

評価が難しい。

一軒家に住む若い夫婦。しかし、夫が死に、彼はゴーストになる。
予告編の触れ込みでは、夫のゴーストが残された妻を見守る、「ゴースト、ニューヨークの幻」のような話かと思ってたら違っていた。本作のゴーストは「人」ではなく「場所」に憑くのだ。
妻は間もなく、夫婦で住んだ家から引っ越してしまう。
家には夫のゴーストが残る。
なので途中から夫婦役のケイシー・アフレックとルーニー・マーラの姿を、ほとんど見なくなる。まあ、ケイシー・アフレックはシーツの下にいるのだけれど。

1シーンが長く、セリフや動きもほとんどない、ストーリーもほとんど起伏がない。
主人公はゴーストだからなんだが。
正直、退屈だ。
退屈ではあるが、ラストには心を揺さぶられる。
そこには鮮やかな伏線の回収だけでなく、作り手の死生観や時空というものへの解釈があって、面白い。

夫はなぜゴーストになったのか。
夫は不慮の事故で死んだのだが、死の直前、夫婦には、この家から引っ越すかどうかで小さないさかいがあった。
幼い頃から引っ越しが多かった妻は、引っ越し時に、家の壁の隙間などにメッセージを残してきた、という話を夫にしていた。
夫を亡くした妻は、この家から出ることを決めるのだが、彼女はこれまでと同様、家の中に小さな紙片を残して出て行った。
ゴーストは執拗に、この紙片を探る。
そう、夫は妻の想いを知りたくて、この世に残ったのである。

妻は夫を喪った。
しかし、夫もまた妻を喪ったのである。
そして夫はゴーストゆえ、話すことも出来ない。
痛切である。
そして、映像は美しい。

あと、ルーニー・マーラは薄幸な役が似合うね。
ShinTakeuchi

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