きなこ

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのきなこのレビュー・感想・評価

3.7
難しくってやるせなかった。
静かに静かに、時間の感覚がなくなっていく。エンドロールまで静か。
そうしているうちに、観ている側もだんだんゴーストに寄っていく感じがしました。
最初は彼女寄りで観ていたのになあ。
雄大すぎて咀嚼しきれず、誰かと話したくなる映画だった。

ルーニーマーラーのパイのシーンは皆さんおっしゃっている通り長くて、ひしひしと伝わるものがあった。
何テイクとったのかなー。
1人で引越しの準備をするところのもの寂しさにも泣きたくなった。
彼女はあのあと、どんな人生を歩んだのでしょうね。

中盤ターニングポイントが訪れますが、彼女がひとつ乗り越えようとしたところで、忘れられはしなくても彼は過去になっていく感じがした。彼はまだ、彼女との暮らしに気持ちを残しているので、決定的に時間の過ぎ方が分かれていくというか、否応無しに決別していく感じが悲しかった。ゴーストと彼女の生活が描かれていましたが、穏やかそうなのに妙に悲しかったんですよね。彼女にとっては別れる前の準備期間だったのかな、とか、その側にいたゴーストの気持ちとか考え始めると切ない。

最初はそうでもなかったのに、柱をカリカリし続ける彼(2回目)を見たらどうしようもなく泣きたくなった。
最後らへんで、きちっと伏線?が回収されてスッキリ。ラストシーンの余韻は妙に爽やかでした。

中の人はケイシーアフレック本人だよね?と時々めくって確認したくなるほど、ほぼずっとシーツ姿でした。それでもなんか感じ取るものがある。演出、演技が想像力をかき立ててくるのでしょうかね。台詞もなく、表情の見えないシーツ姿だからこそ、捉え方に広がりが出るような気もしました。
きなこ

きなこ