So

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのSoのレビュー・感想・評価

4.0
「A GHOST STORY」🎥

今年最初の鑑賞映画です。

僕らがいるこの世界は、何回目の「現在」なのか?
今の宇宙が終わって、また始まって、それを何千何万何億回と繰り返すこの世界。未来のずっと先の終点は同じ現実を繰り返す過去の起点と繋がっているー。

この映画は、そんな途方もない時間次元の中で、海辺に寄せては返す浜波のたった一度の細波のような「我々の現実世界」にあって、その細波を超え幾重にも重なり寄せるあらゆる波の中を貫き通して存在していくものが「愛」だと描きます。

この世に遺した想いと対等に対比される、想像し得ないほどの悠久無限の時空間。
ひたすら消えることのない未練は、愛する人の小さな答えを求め続けて何千億光年待ち続けてたとして、もしもそれに出会ったならば、瞬間、最初から何もなかったように消滅する。

一人の人間の意識と、時間概念さえ超えた全宇宙を網羅する真理の流れとの対比が「ゴースト」という存在によって浮かび上がり、その存在の証となるのが「愛」だという結論に帰着するという、かつてない壮大なアプローチで描いたラブロマンスと言ってもいいかもしれません。

「死に際に遺る人の想い」と「宇宙の無限時間」を一枚の五線紙に書き出した交響曲、その旋律に静かに身を委ねたような読後感。
「ゴースト」という時空を超越した観測者の世界観を作り上げることで、「人を愛することの存在価値」を再認識させるという、鑑賞前には想像し得なかったメッセージにただただ驚愕します。
この世を測る尺度を根底から揺さぶってくる作品です。

新年最初に鑑賞するに、見応え十分な映画でした。
今年もどんな名作・迷作に出会えるか楽しみです^_−☆
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