えーこ

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのえーこのレビュー・感想・評価

3.8
自分がいなくなった世界で、
残された妻を見守る一人の男の切なくも美しい物語…
てただのラブストーリーなのかと思ったら、なんとまー壮大な、、
これは記憶の旅の物語ー

田舎町の小さな一軒家に住む夫婦。
突然、夫が交通事故で亡くなってしまう。
カメラはじぃーと見守るように長回し。
彼がよみがえる?までがこれまた長いんだけど、、
シーツ被って歩き出す衝撃(笑)
でも光に照らされ、広大な自然を背景に、シーツをズルズル引きずる姿はさながら修道士のようで神々しくもあり(←えー…)
悲しみをまぎらわすかのように、
妻はパイをやけ食い。
これまた長回しが長くて長くて、、
むせたりしてNG出したら大変ね(笑)

一つ一つの映像が静止画のように
穏やかで美しいのに、
傍らにシーツおばけのシュール、
雑にくりぬいた目がなんとも哀愁を誘う(笑)
手を振る腕、階段を登る足、
見えちゃってるんだけどいーんかな、、
フィルムのコマのように角が丸いのは、
どんな意図があるんだろう。

あゝ、無常。
何気ないハゲオヤジの言葉がすべてを語る。
思わぬ展開に戸惑う。
家は歴史を刻む。
留まるしかない魂、
膨大な時を超え、たった独りきり、
虚無感に襲われながら、
シーツの奥で彼は何を思い、
何を見つめていたのだろう。
ベートーベンの交響曲のように、
彼の曲も誰かに受け継がれていったらいいなと思った。
えーこ

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