郊外の一軒家に住むある夫婦。2人は幸せな日々を過ごしていたが、夫が交通事故で亡くなってしまう。ところが夫はシーツを被った幽霊となり、妻が待つ自宅へと帰ってくる。妻に気づかれぬまま家の中を彷徨う彼の魂が行き着く先は。
歴史の1ページ
『セインツ -約束の果て-』のデヴィッド・ロウリー監督とケイシー・アフレック、ルーニー・マーラーが再びタッグを組んだファンタジー・ドラマ。サンダンス映画祭を始め、多くの映画祭で絶賛された。
死んだ夫が残された妻を守るニューヨークの幻的な映画を想像していたのですが、意外な展開でした。
死者の生涯(いや?死涯⁇)を描いた壮大なスケールの物語。
とても静かで静止画のような長回しも多く、余計な贅肉を削ぎ落とした洗練された雰囲気。画面も四角い。
観る側の感性に委ねるような作品だった。
時の流れが1つのポイントとなるのだと思うのですが、その静かでゆっくりと流れる生者の時間と、目まぐるしく時を行き交う死者の時間が印象的だった。妻がパイを食べ続けているのも彼からすれば一瞬の出来事だったんだろうな。
幽霊に時間の概念が無いというのを描いているのは興味深く新鮮だった。
どれだけ人々の記憶に残ろうとも
全ては無に帰る
だとしても受け継いだ想いや
2人だけの歴史に価値がないなんて
僕は思いたくないな。