kaho

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのkahoのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

胸がいたくてたまらない。
ずっと側にいるのに、ずっとここにいるのに。

5:4くらいの画面比率と画面の角が丸いところ、内装や小物のセンスがいいところ、映像の質感と色味、寄り添うようなやさしい穏やかさとやりきれない切なさや悲しみの共存、幽霊の存在みたいにふわふわとしたお伽噺話っぽさ、全部好きだった。

人を待っているけれどそれが誰だか覚えていないお向かいさんとのシーンから、特に切なすぎるね...いつか彼女を忘れてしまうのかもしれない怖さを知って、そうしているうちに彼女は自分との日々と決別して前に進んでいってしまう(ように見えた)。忘却と背中合わせで、時間を越えて彷徨いながら、ただずっとここにいるだけ。
でも確かに、埋め込まれた紙切れに、彼女の自分への変わらない想いが表れていたんだよね。

成仏の瞬間、私はすごくハッとさせられてショッキングですらあった(唐突というのもある)のだけれど、一人の人の魂がこの世を立ち去ったエネルギーを感じられて好き。人の魂が立ち去ることを、ろうそくの火がそっと消えるような儚く呆気ない印象にしないことは、魂たちへの敬意があってのことのように思える。

霊感無いしホラーもお化け屋敷も嫌いだけれど、もしお化けに会うときがあったら「あなたは誰なの?」と聞きたくなっちゃうだろうな。
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