とてつもなく壮大なスケール感をもった“オバケ”ストーリー。
ロングカットと台詞の無いシーンを繋ぎ合わせ観る側の想像力とキャストの演技力で魅せる感じはとても好み。
途中まではよくある感動的なゴーストラブストーリー?喪失と再生の物語?と思って観てたら(ろくろのバックハグシーンが有名なあの作品みたいな...)
違った!
総じてミニマルで余計な台詞は一切無い(もしかしたら必要な台詞さえも)。
長回しで無音、それをひたすら垂れ流すかの如くの映像は斬新且つ新鮮で、何処かスタイリッシュさを感じるところ。
とりわけ忍耐力を試されるタルトのシーンは一際印象的でもありウッと来る場面でもあった。
徐々にシュールなビジュアルにも慣れ愛おしさすら湧き哀愁さえ汲み取れて来るのは至って不思議な感覚。破壊と再生を繰り返す人類への警告とも、もっと言えば現世を超越したスピリチュアルなステージをも連想させる輪廻転生の論理に行き着いたり、、、
唯一、そして一点集中と言えるほど極端に台詞量を割いたベートーヴェンの「第9」のくだりが一気に壮大な宇宙レペルにまで昇華させた気がする。
“ゴースト”と呼べる程洗練されてなく“オバケ”の表現があまりにしっくりくるビジュアル。とは言えシーツの分量、シワの数、くり抜かれた両目の大きさ、振り向く角度...全て計算し尽くされた絶妙バランスを想像させられるところでもある。
一瞬にして宇宙の藻屑と消え去る運命も、心構えのないまま絶えた命は行き場を失い彷徨い最終的に留まる場所を探す。
きっとラストの解釈に正解は無いのだろう、、、