ましゅー

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのましゅーのレビュー・感想・評価

3.8
連投失礼します。

9/20アマプラ週末100円レンタルで借りた3本のうち最後の1本です。
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自宅鑑賞作品、比較的最近作が続きましたが、こちらは劇場非鑑賞期間(2014~2018年)の作品でもありますし、劇場に行ってなくてもちょこちょこ映画情報を仕入れていた中でも特に気になっていた作品でした。
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今でこそA24という先鋭的な作品を連発するスタジオはだいぶ自身にも馴染みになってきましたが、当時はその存在すら全く知らず、観てみたらこれもそうだったんですね。
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私くらいの世代になると、この幽霊のビジュアルはズバリ懐かしき「オバケのQ太郎」を連想させますが、さにあらず。

そうした破壊的なギャグマンガとは一線を画した、そう、何と言うか、心の奥底の琴線に触れるような、優しげで静謐な語り口の一片の詩を読むような、そんな肌触りの良品でありました。
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(以下 Filmarksより転載)
田舎町の小さな一軒家に住む若い夫婦のCとMは幸せな日々を送っていたが、ある日夫Cが交通事故で突然の死を迎える。妻Mは病院でCの死体を確認し、遺体にシーツを被せ病院を去るが、死んだはずのCは突如シーツを被った状態で起き上がり、そのまま妻が待つ自宅まで戻ってきた。Mは彼の存在には気が付かないが、それでも幽霊となったCは、悲しみに苦しむ妻を見守り続ける。

しかしある日、Mは前に進むためある決断をし、残されたCは妻の残した最後の想いを求め、彷徨い始めるーー。
(引用終わり)
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と書くと、そこでお話は淡々と終幕を迎えるように思いますが、ここから一片の儚げな詩が、スケール感のある叙事詩的な様相を見せ始めるんですよね。
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あまり多くは語りませんが、幽霊自身の夫婦自体による少々の衝突もありつつのミニマルで穏やかな生活の軌跡から、人類の飽くなき探求心・冒険心の一端や、あまり仏教に詳しい訳ではありませんがまさに諸行無常の世の中の興亡までをも描き出す筆致。
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でもやっぱり最後は、そもそも幽霊になったきっかけでもある夫婦としての思い出に回帰して、その終焉を迎える。
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ラストの、それこそ無常感とは無縁の、人としての最低限の幸福「人と人との永遠の繋がり」を想起させる、余白的なまとめ方が想定外に刺さりました。
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これもひとつの恋愛ものとして見るならば、やっぱり私は日常の中での好きだ嫌いだ惚れた腫れたよりも、やっぱりこういうファンタジーのオブラートに包んでくれた方が受け入れやすいですし、少しスケールの大きな描き方になる部分は人によっては好き嫌いあるでしょうが、なんだか達観した気分になって世俗の煩悩を打ち払えたような心持ちで、とても心地好い観了感を得ることが出来たのでありました。
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要は嫌いじゃない、むしろ好きですよ。こういう感じ😊
ましゅー

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