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南イタリアへようこそ/南へようこそ(原題)のbirichinaのレビュー・感想・評価

5.0
物語の紹介:
北部の小さな町で郵便局長をしているアルベルトの夢は大都市ミラノのへの栄転、妻もそれを心待ちにしている。しかし、人事部にいる友人に頼んでもなかなか機会は訪れない。しびれをきらしたアルベルトは、障がい者のふりをして障がい者枠でミラノ栄転をつかむ。ところが、障がい者ではないことがバレて、罰として誰も行きたがらない南部への異動を申し渡される。妻は怒り狂い、アルベルトは妻子を残して単身赴任することになる。
人々はアルベルトに「南は怖い所だ」と恐怖心を植え付け、アルベルトは防弾チョッキ、ネズミ捕り(北部では南部には今もペストがあると信じられている)、北部産のチーズなどを持って旅立つ。
新天地はナポリ近郊の海辺の小さな町。郵便局員たちは時間を守らない、客とだらだら話し込むなどなどアルベルトの目に余る勤務態度だ。彼らを北イタリア式に矯正しようとするが、まったくうまくいかない。逆にアルベルトのほうが、開放的で親近感あふれる南流の働き方や生き方に染まっていく。
当初は毎週末、家へ帰省していたアルベルトだったが、南の生活が楽しくなり、妻には何だかんだとウソをつき帰省回数も減る。ある日、不信に思った妻から、様子を見に行くと告げられ…。
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感想:
北イタリアの人々が南イタリアに対して持つ偏見や思い込みをうまく笑いに変えて、楽しいコメディに仕上がっている。障がい者も笑いのネタにできるイタリア映画、ひいてはイタリア人の懐の広さを感じた(おそらく日本だとクレームが来そう)。アルベルトの転勤先のパッとしないマンモーネの郵便局員マッティアと町のマドンナ美人局員マリアの恋の行方も見どころ。
地方のよさを痛感させられる作品なので、日本の地方の方々にはぜひ見ていただきたい。
気に入ったシーン:
マッティアの母親がアルベルトにブタの血入りココアを勧めるシーン。

北と南の方言がたくさん出てくるので、それを聞くのも楽しい。
なお、半分はフランス映画「Bienvenue chez les Ch’tis」(2008年)のリメイクだそう。その映画の監督も郵便局に来る外国人客としてカメオ出演している。
本作の続編にマッティアがミラノの郵便局に転勤する「Benvenuti al nord」があるが、そちらは駄作。
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