岩嵜修平

夜明け告げるルーのうたの岩嵜修平のレビュー・感想・評価

夜明け告げるルーのうた(2017年製作の映画)
4.1
祝 アヌシー国際アニメ映画祭 長編グランプリ受賞!!

本当に最高の映画なので、色んな映画館で再上映されて欲しい。

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最高!今年観た映画で初めて泣きました。論理的でない理由のない涙。感情の高まりを抑えきれない涙。
もう、全編通して愛だらけなのですよ。キャラクター1つ1つの愛。湯浅政明監督が作品全体に込める愛。
ちょっとラブシーンはあるけど、これは親子でこそ観る映画ですよ!お子さんは物語の意味は分からなくても感覚的に楽しめるし、大人は大笑いしながら号泣しちゃいます。
とにかく「ルー」が可愛すぎる。子供の頃のモアナも可愛かったし、当然ポニョも可愛かったけど、超越して可愛い。よく見ると造形はアレなのに存在そのものが可愛い。だから彼女に起きるアレコレに心がグワングワン揺さぶられる。
湯浅政明節、ここに極まれり!と言った画づくりで、もう快楽を超えて悦楽の領域に。ドラッグですよ、映像ドラッグ。
当然、森見原作の湯浅政明監督作品も好きだけど、キャラクター原案に縛られない(とはいえ、今回もねむようこさん原案だけど)分、デフォルメも激しく、もう人としての造形を維持してないもの多数。それが他では決して味わえない映像体験。
扱うモチーフから3.11を想起せざるを得ないけど、やはり5年経った今というタイミングは大きいんじゃないだろうか。個人的には、おじいさんのエピソードに鎮魂的な意味を受け取った。
音楽が見事に映像に噛み合ってたのはもちろん素晴らしいんだけど、あれだけ擦られても飽きさせない『歌うたいのバラッド』の曲としての完成度よ。でも、本人が歌うのより劇中の方が好きだったりw
客寄せに有名俳優やタレントをほぼ声優に使うことなく(谷花音ちゃんは彼女にしか出来ない声を表現したと思う)ひたすら、湯浅政明監督のとんでもないセンスを信じて製作した東宝とフジテレビの心意気!これからも湯浅政明監督のオリジナル作品をもっと観たいので、是非、何をおいても映画館で鑑賞をば!この世界に溶け込めるのは映画館ならでは!
岩嵜修平

岩嵜修平