メランクさん

夜明け告げるルーのうたのメランクさんのネタバレレビュー・内容・結末

夜明け告げるルーのうた(2017年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

大好物。
御影岩が思春期の主人公の前に象徴的に立ちはだかり、出会いが、音楽が、つながりを求める感情が、やがて壁を打ち砕く。
だがそこに貢献したはずの人魚は消え、後には主体的に将来を描く主人公が残る。
善悪に分かつのが困難な大人の世界に対し、それでもどこかにいることを強いられる主人公の葛藤。
その葛藤が嵐のように過ぎ去り、主人公が成長してしまっても純粋さの象徴として「人魚」は残るのだろう。
冒頭からたびたび登場するSNSは、今作においては現代性を示すとかいったものよりももっと積極的な意味がある。
それは思春期にこそ顕著な自己顕示欲を表すメディアとして重要な役割を果たし、劇中のスマホの紛失や返却にそこに込められたポジティブな意味を感じる。