ベルサイユ製麺

夜明け告げるルーのうたのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

夜明け告げるルーのうた(2017年製作の映画)
4.0
短い夜が開けました。トボトボ…。

湯浅監督作としてはとってもオーソドックスなスタイル、ですよね?ドラマ運びも一般的な劇場用アニメーション的ですし、キャラクターの行動原理もよく分かる。その事がちょっとだけ寂しい。とにかくウェルメイドで、全てのパーツが気持ち良くカチッとはまって、だけどそのせいで、いつかこの物語のことを忘れてしまうかもしれない…。

カイくんのおうち、家の中から海に繋がってるのを見て、親戚の魚屋をやってるの伯父さんのトコを思い出しました。物置の下に川が流れてて、それがおーきな河に流れ込んで行くのです。そこでは鯉ぐらいしか見なかったけど、例えば口笛が吹けたら違っていたかも…、なんてまあまあセンチメンタルです。いや、劇場用長編アニメーションはただでさえセンチなんです。なんか、鑑賞中しょっちゅう涙ぐんでたなぁ。海上高くから眺める街の光、綺麗だったよ。

物語の後半、水にまつわる大きな災害が描かれます。正直この辺りってまだまだデリケートな題材だと思うのですが、敢えての展開なのでしょうね。湯浅監督は、現実の出来事のシビアさにフィクションが負けて萎縮してしまうのが我慢ならないのだと思います。あり得ない様な物に恋をするべきだし、あり得ない様な力に救われても良い。だから命懸けで奮闘する人魚パパは湯浅監督にダブって見えました。個人的には、日本のアニメーションは蛸壺化の方向に進みがちで、イマジネーションやファンタジーの力を信じきれていない様に思えてしまいます…。よく知らないのに偉そうな事を言って申し訳ないです。

嗜好の問題だと思うのですが、音楽が重要な役割を担う物語である割には、そのレンジが狭いなぁと思ってしまいました。別にマニアックで尖った選曲が良いとか言う訳では無いのですが、例えば主題歌の好き嫌いでだいぶ評価が変わってしまいそう…。全曲オリジナルで良いのでは?
あ、ゆうほちゃんの歌はアイドル性高いと思いました!短絡的なところもアイドルっぽい。

夏休み、こんなのテレビでやってたら最高だなぁ。風呂上がり、スイカ食べながらボンヤリ観ていたい。ちびっこにも受け入れられるそうに思えますし、是非放送してほしい。魔女宅やラピュタ、一回くらい飛ばしても問題無いですよ‼︎