みゆ

ワイルドライフのみゆのネタバレレビュー・内容・結末

ワイルドライフ(2018年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

アメリカで暮らす三人家族が、時代の大きな変化の中で、少しずつ崩壊していく様を描いた物語。
秀逸だなと思ったのは、息子ジョーの視点。大人の身勝手な理由や、立ち振る舞い、ルールを独りよがりで解釈したり、思い付きで行動するところなど、翻弄されるのは、実は、特定の価値観から離れられず、変わることの出来ない人達だということを上手く観察するような目で見つめている。
ジョーが最後に撮った写真の意味は何なのだろうか。各々が自らの生きる道を見つけたという、人生の岐路の意味で撮ったのだろうか。母が言った「お父さんと撮ったら」に対して言ったジョーの言葉「家族で撮りたいんだ」が何とも心に染みた。また、家族として再生するという期待があったのだろうか。三人はどんな表情をしたのだろうか。今作のポスターにはジョーが本来座って写っているはずの椅子に誰もいない。
観る側の想像力をかきたてるが、やはり、崩れ行く価値観の中で、別々の道を歩むことを示唆しているように感じる。そして、表情は案外晴れ晴れしていたのではないか。そうだったとして、三人とも力強く生きて行くだろうということ。
やっぱり夫婦生活って、他人同士の共存なので、最後までお互い添い遂げられる夫帰って本当に凄いことなんだと、今こんな時代だから改めて思います。この頃をきっかけに、ジョーが大人の階段を一気に駆け上がって行った感じが複雑な気持ちになりました。
大人って子供が思っている以上に、大人になりきれてないものなんですよ。
14才のジョーが両親に振り回されることなくしっかり歩んだ人生。ポール・ダノ初監督作品、素晴らしい映画でした。
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