たにたに

ワイルドライフのたにたにのレビュー・感想・評価

ワイルドライフ(2018年製作の映画)
3.4
14歳の思春期に、"気を使う"ことを強いられる不憫な少年。

うーん…。
これは父親も母親も、失格というか、人間としてどうかしてるよ。
息子が不憫で仕方がない。

父親は仕事をクビになり、山火事に魅了され、消火のためにほぼボランティアで出稼ぎへ。
母親は勝手な父親に呆れ果て、仕事を探して外へ出る。スイミングスクールの先生となり、そこの生徒と不倫関係となる。その相手がふとっちょオヤジ。

こんなの耐えられない!
息子は両親を否定もせず肯定もせず、気を使って自分の意見を押し殺す。

息子の「視点」を特徴的に捉えるカメラワークで、なんとも言えない感情をうまく描写している。



↓ネタバレ↓






大オチは、父親演じるジェイクギレンホールが、不倫相手の親父の家にガソリン撒いて燃やすところ。
山火事の消化をしに行った男が、怒りに任せて火を放つ訳だ。

「山火事は悪いことばかりではない、再生の一歩」そんなことを息子の先生は語っていたが、父親が犯したことは、再生ではなくただの破壊。そこから生まれるものは後悔だけ。


最後の集合撮影も印象的。
写真は、良いことがあったり幸せな一瞬を思い出に残すために撮るもの。
確かに。写真は笑顔を迫られる。
楽しくなくても。

最後の家族写真の一瞬は何を切り取ったものなのでしょう。息子にとって、何もないことが幸せなのだ。


微妙な評価なのは
とくにメッセージ性のある作品には思えなかったから。
ジェイクギレンホールとポールダノの作品は、プリズナーズが良きです。
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