カタパルトスープレックス

ジャバウォッキーのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

ジャバウォッキー(1971年製作の映画)
4.3
ヤン・シュヴァンクマイエル監督が「ジャバウォックの詩」からインスパイアされた『アリス』に繋がる傑作です。現在のシュヴァンクマイエルはここからはじまるといってもいいです。この作品でデビュー作『シュヴァルツェヴァルト氏とエドガル氏の最後のトリック』(1964年)を超えることができたと思ってます。

デビュー作から「世界観」を確立していたのに、「表現方法」が追いついていかなかった。スタート地点の人形劇/仮面劇。ここにきて追いついて「世界観」と「表現方法」が支え合う関係になれました。

冒頭は「ジャバウォックの詩」の朗読からはじまります。ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』で登場します。ジャバウォックは原作の挿絵ではドラゴンのような姿形をしています。ルイス・キャロル特有の「かばん語」を使った詩なので、意味はよくわかりません😂。つまり、ジャバウォッキー(「ジャバウォックの詩」のような)は英語で「ナンセンス」という意味なので、本作品のタイトルは「不条理」と訳してもいいかもしれません。

この作品(1971年)がすごいのはヤン・シュヴァンクマイエル監督の初長編作品『アリス』(1988年)と繋がりがあるところです。17年離れているのに!ワラを詰めた人形や瓶詰めの不味そうな食べ物。これは『アリス』にもそのまま登場するモチーフです。「リアルで気持ち悪い舌」もここで初登場します!

舞台は子供部屋で衣服や持ち物が動き出します。「不条理」なのでやりたい放題です。シュヴァンクマイエルの真骨頂とも言える「可愛らしいけどグロテスクな表現」もたくさん出てきますよ!😍。ボクが特に好きなのはブロック絵のアニメーションや紙飛行機のアニメーション(と実写の組み合わせ)でした。