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泥棒役者のちはのレビュー・感想・評価

泥棒役者(2017年製作の映画)
4.5
【次々と繰り広げられるドタバタストーリー、これぞ笑って泣けるエンターテイメント映画。】★★★★★
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監督:西田征史
製作国:日本
ジャンル:コメディ
収録時間:114分
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2時間スクリーンに映し出される映像を観ていたのに、生の舞台を鑑賞した気分になった。
ただ笑えるだけでなく、登場人物が持つ「過去の失敗や後悔」が物語のテーマとして描かれている。失敗や後悔の向き合い方、逃げずにどうやって乗り越えていくのかを考えさせられる。
人間愛にあふれ、心がホッと温かくなり、優しくなれる、西田監督のユーモア溢れる作品。


あらすじ
町工場で働く主人公はじめは、昔の友人に脅されて仕方なく一軒家の豪邸に入る。元・泥棒でもあるはじめが入った家は絵本作家の豪邸であった。次々と訪問者が現れ、
自分の正体を隠すために、何役も演じるはめに…。


豪華俳優陣たちの演技は役にハマっていたと思う。
絵本作家、前園俊太郎を演じる市村正親さんの演技。マッシュルームヘアにちょっと天然がはいった絵本作家。
ドラマや映画ではお堅い役を演じている印象があって、
ここまで吹っ切れた演技が自然すぎて、さすが役者歴長いことだけあってプロだ。
そして、ユースケ・サンタマリアが演じる空気を読めないセールスマンの役が個人的には好き。
ハジメや絵本作家とか変わっていくことで、営業マンとして結果を出せないことに気づくといった
部分がわかりやすかった。
空気の読めないところに笑いのタネが仕込まれていて、人間味あふれる純粋なキャラクターに
心の中で突っ込みながら涙して笑った。漫才をみているようで。

片桐仁さんが演じるユーチューバーは傑作。歌手を目指してユーチューブにひたすら動画を上げまくる。
ユーチューバー片桐仁のキャラがわかる動画で「恋のメデューサ」。
[http://dorobou-yakusha.jp/takanashi/:title]
本作品に出てくるユーチューバーが実際に動画投稿していたら話題になりそうだ。

絵本作家の前園宅の隣に住んでいて、物音になにかとイチャモンをつけてくるといった捻くれた性格もキャラを引き立てている。


ただの笑えるコメディだけではなく、生きていく上で誰しも壁にぶち当たって立ち止まるテーマも含まれている。
特に、絵本作家の前園俊太郎の言葉ひとつひとつが胸に刺さる。
彼が描いた絵本「タマとミキ」の誕生秘話、作品背景、タイトルに込められた想いには自然と涙が出た。

みんな普通の人なんだろうけど、日常の顔の裏では逃げたくなるような影の部分がある。
どんな後悔や失敗も受け入れて、前向きに生きていくって難しいなろうけど、
みんなそうやって生きているんだなぁって思った。
「過去の失敗や後悔から目をそむけてはならない」といったメッセージが心に響く。

演出ではアニメーションも入っていて、ポップな絵や可愛らしいキャラクターで
シーンの変え方が面白くて、隙を与えないところが西田監督らしいなと。

西田監督といえば
脚本だと「信長協奏曲」「とと姉ちゃん」
監督・演出では「小野寺の弟・小野寺の姉」が代表作。

そして嬉しいことが一つ!!
おそらくサプライズであろうか…
西田監督の代表作に出演していた、大物俳優と女優の2人がカメオ出演している。
ここで出演するかーー!って嬉しかった。

映画で声がでてしまうくらい笑った作品って今までにあっただろうか…。話の展開が一つ一つ印象に残る作品。
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