回想シーンでご飯3杯いける

泥棒役者の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

泥棒役者(2017年製作の映画)
3.3
元が舞台劇という事で、この映画版も、ほぼワン・シチュエーションの喜劇として仕上げられている。絵本作家が住む豪邸に2人組の泥棒が忍び込んだものの、後から訪れた人達に作家本人と人違いされて、話がこんがらがっていくという、アンジャッシュのコントみたいな作品だ。

日本語の曖昧さを上手く利用して、人違いの連鎖が広がっていく仕掛けはとても面白い。W主演といえる丸山隆平と市村正親の、少しとぼけた台詞回しも、2時間限りの舞台っぽい作品世界を上手く表現していると思う。

しかし、トータルとして見ると、何故か極端にリアルなチンピラ風演技をする宮川大輔や、別々に撮ったものを継ぎはぎした感じが伝わってくる編集等、どうもテンポが悪い感じがするのが勿体無い。

笑い以外の要素もあり、ネタバレ禁止とか爆笑必死みたいな、飛び道具的なコメディ映画とは一線を画す、味わい深い作品だと思う。先に挙げた不満点が無ければ、近年では珍しいタイプのコメディとして、もっと話題になっていたと思う。