くろねこヤマ子

羅生門のくろねこヤマ子のレビュー・感想・評価

羅生門(1950年製作の映画)
4.1
ひとつの犯罪が
4通りに描写される。
その食い違いっぷり。

証言するは盗賊と
殺され霊となった侍。
盗賊に犯された侍の妻。
そして見ていた木こり。

互いの言い分は
どれも真実味が薄く、
我が身を守り、
他人を欺くものばかり。

本当のことは何だろうって
考えさせられる。
絶対の真実なんてないのかと
考えさせられる。

真実は藪の中。
芥川の藪の中。
作品タイトルは羅生門。
タイトルは羅生門なんだよなぁ。

Wikiにはその理由が書かれているけれど、
それだって真実かしらん?

羅生門というタイトルに
もう少し違う意図が
あると思うのは
深読みしすぎかしらん?

門を背にし、
命を抱き抱え歩く志村さんに、
希望を感じるようになりたいな。

都合の良い嘘を正しいと思う。
人間というものはそういうもの。
改めて思うし、
それもまた真実だと思いたい。

まだ青さ残る三船敏郎と、
ブス可愛い真砂役の京マチ子。
モノクロゆえの美しい木漏れ日。
真砂の証言場面で流れる
和製「ラヴェルのボレロ」の旋律。

この作品は嫌いになれない。