ホイットモア大統領

羅生門のホイットモア大統領のレビュー・感想・評価

羅生門(1950年製作の映画)
4.0
芥川の原作は既読だったので、あれをどう90分に落とし込んでくるのか…。
と思って見たら、序盤と終盤こそ要素はあれど、全然違う作品になっていてビックリ笑

加えてもう1つビックリしたのが、京マチ子の年齢。
当時、俺と同い年というのが衝撃的なぐらい、顔面インパクトと妖艶さが凄い!
そりゃあ、相手は森雅之しかいないわ笑

しかし、京マチ子だけでなく、菊千代の前身的キャラクターを演じた三船敏郎、森雅之の言葉を借りて喋る巫女(!)、事件を目の当たりにして錯乱する志村喬など、
出てくるキャラクターのほとんどのリミッターが外れているため、本作には少人数劇とは思えない熱量が存在する。

その熱量も、テーマであるエゴイズムを象徴するための"計画的な必死さ"なのだろうし、1つの事柄を3視点からの描く手法や、時代劇にボレロ調の音楽なども含め、緻密な橋本脚本に、革新的な黒澤演出と、天才の技を存分に堪能することができる。

また、お家騒動により、本作は東宝ではなく松竹作品になっている。
そのことを象徴する羅生門のセットの壮大さ・荘厳さは、とても70年前の映画とは思えない規模だが、だからこそ未だに人気な作品なのだとも思う。