あや

羅生門のあやのレビュー・感想・評価

羅生門(1950年製作の映画)
3.6
荒れ果てた羅生門で、旅法師と杣売り、下人が雨宿りをしている。
薪を取りに行った杣売りはそこで侍の死体を見たと下人に語りかける。


芥川の「羅生門」が原作だと思っていたら、舞台が羅生門なだけで話は芥川の「藪の中」なんですね。
まずこの侍、侍の妻、多襄丸の3人の話が食い違っているため、誰が犯人なのかわからない。多襄丸は女の顔を見た瞬間欲情し、侍を殺して女を手に入れたと検非違使に話す。
女は多襄丸に手篭めにされたあと、侍の軽蔑した目に耐えられなくなり気絶した。目が覚めたあと夫の胸に小刀が刺さっていたという。
侍は死んでいるので巫女の声をかりて証言している。巫女がひらひら舞い、鬼のような怒りの形相で証言しているのが本当こわい。

下人の「都合悪いことばかり話している」という言葉がすべてで、結局3人はそれぞれ都合悪いことを隠している。本当に正しい人間なんてこの世にいるのだろうか?と思いたくなる。
狂ったように笑ったかと思えば、戦いになると怯えたようになる多襄丸の演技が同一人物と思えなくてすごかった
あや

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