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羅生門のmasaのレビュー・感想・評価

羅生門(1950年製作の映画)
3.8
人間のエゴイズム、身勝手な醜さを見事に描ききった作品。
今も昔も人間とは、さっぱりわからねえ生き物である。

芥川龍之介の小説「藪の中」を黒澤明監督が映画化。
平安時代、京の都で悪名高き盗賊多襄丸(三船敏郎)が山中で侍夫婦の妻(京マチ子)を襲い、夫(森雅之)を殺害したという。だが、検非違使による調査が始まり、盗賊と妻と殺された夫の霊を呼び出した巫女と三者三様まったく異なる証言をする…

言葉があるから見栄を張って虚偽の発言をする。すべてを見ていたという、薪売り(志村喬)も、どこまで本当なのか分からない。。人間は本当に都合のいい生き物だ。
…しかしラスト羅生門の下で、志村喬がとった行動、人間の良心にわずかな希望が差し込む。

三船敏郎や京マチ子や志村喬などの名俳優たちの鬼気迫る演技はやはり凄い。
そこにモノクロ映像の美しさが増し、名作はやはり名作であった。

日本では公開時は不評だったが、海外では高く評価され、ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞、日本映画として初めて海外映画祭でグランプリに輝き、世界における日本映画の評価が高まるきっかけとなった作品でもある。
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