羅生門の作品情報・感想・評価・動画配信 - 5ページ目

「羅生門」に投稿された感想・評価

ノリオ

ノリオの感想・評価

4.1
『TAJOMARU』を見た後、どうしても見たくなり再見。


平安時代、羅生門の下で雨宿りをする下男(上田吉二郎)相手に、旅法師(千秋実)と杣(そま)売り(志村喬)が奇妙な話を語り始める。京の都で悪名高き盗賊多襄丸(三船敏郎)が山中で侍夫婦の妻(京マチ子)を襲い、夫(森雅之)を殺害したという。だが、検非違使による調査が始まると、盗賊と妻の証言はまったく異なっていた。



冒頭、土砂降りの雨から物語は始まる。
この土砂降りの雨、より印象付けるために水に墨汁を混ぜていたのはあまりに有名。
これでもかと降り続けるその雨の凄さといったら半端ない。
この雨だけでも『羅生門』を見る価値はある。



対立する複数の視点から同じ出来事を全く違うふうに回想し、物語は進行していく。


証言が違うということは、確実に誰かが虚偽の証言をしているということである。
共通する証言を軸に、見るものは何が真実だったのかを推理する。





登場人物全員、それぞれがそれぞれの理由で虚偽の証言をしている。

生きている多襄丸と侍の妻が証言をするのはわかる。
だが、黒澤明は死んだ侍を霊媒師を使い召喚し証言させている。


この死んだ侍の証言というのが実に興味深い。

生きている人間は、まさか死んだ人間が嘘をついているとは思わない。
だがこの侍は死んでもなお、虚偽の証言をしているのである。

“真実”を知られたくないという思いが侍の真意なのだとするなら“虚偽の証言”をすることは侍の真意なのかもしれない。


それぞれの見方の差異ではなく、人間のそのものの業の深さを描いているからこそラストシーンの志村喬の表情に救いと疑念を感じ、やはり人間の業の深さを感じるのである。
国立映画アーカイブで「羅生門展」が開催されていると知り、ようやく鑑賞!そしてすかさず羅生門展も見に行ってきました。もう、充実感が凄いです、、!

DVDで見ると、音声が聞き取り辛い所が若干ありましたが、羅生門展でそれも解消。
かなり見応えのある展示でしたが、中でも特別展示"四人の視点から見た羅生門"がすごく面白かった。多襄丸・真砂・武士 金沢・杣売りのそれぞれの証言場面を4画面の同じタイムラインで見ることができるというもので、証言の差が一目瞭然でした。
さらに、10/20からは羅生門の10分の1セットも展示されるとのことですので、東京の方にはおすすめです!👀 
BRILLIANT

BRILLIANTの感想・評価

3.5
初黒沢映画にしてとんでもないものを観た。

脚本・構成、秀逸な気がします。

どこで一時停止しても一枚の写真と成りうるようなカメラワークや配置もまたしかり。計算し尽くされていると感じました。
MiA

MiAの感想・評価

3.8
初めて見た時はめちゃくちゃ頭痛くなったけど久しぶりに見ても頭痛くなった、人の意見や思い出して発言することって特に真実を言え!みたいな状況だといかに真実がねじ曲げられてるのかわかる。みんな自分のいいように思われたいもんなあ。
Yuki

Yukiの感想・評価

3.6
羅生門違うじゃないのって思ったら別の作品の要素と合わさってるそうな

これ50年前に発表されてるのすごくない?
あにま

あにまの感想・評価

3.5
807作品目。レビュー85作品目。
『羅生門』
 監督:黒澤明
 主演:三船敏郎
 興行収入:未記載
 製作費:未記載
日本で1950年8月26日に公開された。
自分のエゴのために話が違う。
しかも亡くなった男までもだ。
真に信頼できるのは己だけなんだなと。
今観ても非常に興味深い作品だった。

このレビューはネタバレを含みます

あゝマチ子姐さん、貴女はなんて魅力的な女優さんなのでしょう。
慎ましく上品な佇まいから一転、激情なる動きで銀幕上を駆け巡り、かと思いきや艶やかな乙女の顔で嘆願し始め、またある瞬間には悪女のしたたかさを見せて…と、たった一つの作品で千変万化の役どころを演じきり、しかし備えられた美貌は決して崩さずに異彩を放ち続ける。
そんな貴女に、私は心も眉毛も奪われてしまいました。眉毛は返していただけると幸いです。

そうして志村喬さん、冒頭から「分からねぇ、さっぱり分からねぇ…」と仰っていましたが、もしかして某時間逆行系映画でもご覧になったのでしょうか。
もし左様であるならばご安心ください。貴方の数百年後を生きる私も、さっぱり分かりませんから。


というわけで、
。しなはおの門生羅


この映画の肝となるのは、事件の当事者が話す三者三様の全く異なる言い分なのだが、その見せ方や内容が非常に面白い。
嘘をつくとは到底思えない彼らが、登場人物の表情も台詞も動作も何もかもが違って全く繋がりそうにない3つのストーリーをそれぞれに真実味を帯びて話す。そのため、
「彼らは起きた出来事をありのままに言っているのだろうか、それともどこかで嘘をついているのだろうか」
と、シンプルだったはずの事件にどんどんとのめり込んでいってしまうのだ。

しかし「真実と事実は違う」とはよく言うもので、彼らが嘘をつかなくとも、話が食い違うというのはいたって普通な事のようにも思える。
そこで登場するのがもう一つの証言なのだが、これもまた面白い。
既に語られた3つの話とはそもそも目線が異なるため、この証言を以て3つの主観的真実に1つの客観的事実を加えた形になるのだが、事件の真相を探るために不可欠なこの事実も、結局は真実の様相を呈してしまうからだ。


だから、彼らの話を虚偽なるものだと解釈して、誠実で尊き人間の生き方を否定するかのようだと考え込んでしまう僧には違和感を覚えざるをえない。
僕は彼らの証言がすべて真実であったように思う。たしかに言葉が足りていないところはあったのかもしれないが、虚偽なることは誰も喋っていないのだと思う。

しかし、壊れかけた羅生門の造形と激しく降る雨の描写が、度重なる争いのなかで荒廃していった世界を見事に表現しているため、テメェの事だけを考えねぇと生きてはいけない地獄そのものな此の世は大いに理解できる。

実際、本作が生まれて半世紀以上も経った現代でも、他人を信頼しきることは難しい。他人を疑うことがライフハックにさえなってしまっている。

だからこそ、この作品のテーマには強く惹かれる。
騙されやすい馬鹿の戯言にすぎないのかもしれないが、しかしそれでも、他人(ひと)を理解し他人を愛するため、他人の言葉に耳を傾け続けることは止めてはいけないのだ。人は信ずるに足る存在なのだ。

暗澹たる世界のなかでも人間を肯定する。そんな黒澤明の作品が、僕はやっぱり好きだ。
けんや

けんやの感想・評価

3.8
女が盗人に犯され、夫の武士が死体として発見されたというはなし。
法廷で盗人、女、巫女に憑依した武士、語り部の4人が当時の状況を話すがみんな食い違い、人間の言うことは信じられないという
人間のエゴに対してのメッセージを感じることができました。
一人一人の役者の演技も狂気に満ちていて素晴らしかったです!
1950年の夏の終わりに、皆これ見て何を思ったのかよ。
フムフムとか言って映画館出たんかな?
Sho3

Sho3の感想・評価

4.5
武士の死体が発見されるところから物語が始まり、当事者の4名から事情聴取するが全員の供述が食い違う。一体これはどういうことなのか。

人間のエゴイズムに焦点をあてて描いた芥川の羅生門から話を広げ、より醜い形で昇華されている。
なんという脚本力なのだろう。
一見全く繋がりがないように思えるそれぞれの当事者の供述は、最後に一つの点に繋がり次の物語を紡ぐ。人間に対する深い絶望と少しだけ残る希望を深いコントラストを持って表現する。

本作品以降このような同じ出来事を登場人物毎に視点を変えて表現する映画手法が一般化したというが元祖にして頂点といってもいい傑作。