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真のフランス男のemilyのレビュー・感想・評価

真のフランス男(2016年製作の映画)
3.1
低所得者向けの団地で暮らすレミ、日常に嫌気がさし、軍隊に入る決意をする。まだ友達四人にはそのことを言えない。この団地の中で最後の真のフランス人となる。

日々の空虚を描き、その中でもスローモーションで些細な喜びに笑顔する姿を描く。意味深に足元のアップから、開けるような明るい空、ガラスには街の風景が映り、これからの未来が輝いてるようにきらびやかさを放つ。

軍隊の適性検査に友人達の日常を交差させ、志願する動機や国籍を問うコミカルな質問の数々がその隙間をユーモアたっぷりに描き、人間としての根本がいかに大事かを改めて考えさせられる。

多国籍人種が当然のフランスらしく、様々な言葉が入り乱れたミックス語を話し、友人達は国籍を超え、独自の世界を作り上げている。国と国を隔てる境界線がぼやけた彼らの世界はオープンで陽気で優しさに満ち足りている。国籍から備え付けられる固定概念がいかに無意味で、大事なのは心であることを知識が欠如する彼らから自然と伝わってくるのだ。大きなテーマを五人の友情に落とし込むことで説得力は元より、同じ目線で感じることが出来る。

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