テリーライス

劇場版 生徒会役員共のテリーライスのレビュー・感想・評価

劇場版 生徒会役員共(2017年製作の映画)
3.5
劇場作品になってもヤることはまったく変わっていない事になにかストイックさすら感じてしまうほどに「いつも通り」だった。
原作漫画の連載10周年記念企画としてまさかの映画化という第一報に驚きはしたものの、蓋を開けてみればTVシリーズの延長線上で60分で展開されるOVA的内容だった。フォーマットもTVシリーズからなんら変化はない。映画だからといって、何かしら特別なことはさしてしてないのもこの作品らしいといえばらしい。普通に2期OPが流れる辺りも特に映画ということをまったく意識していない感じが非常に強かった。まあ、オープニングのドローン視点のガチャガチャ動く全キャラ登場シーンは無駄に気合が入っていたと思うが、それすらもTVシリーズからのある種伝統シーンでもあるので、目新しさというよりは磐石の展開という感じ。
アニメの方も第1期、第2期、それらの終了後のOADやOVAなどの展開が続き、地味に7年も続く息の長いシリーズになっていて、「終わらないコンテンツ」感を醸し出しているがよくよく考えれば10年代発の「サザエさん」系作品として、いつ見ても変わらない味を提供してくれる強さがこの作品の魅力ではないのかと、はたと感じる。いつ入っても同じ味な商店街のラーメン屋的なタイムレスな安心感が楽しいというか。
爆笑するわけでもなく、ポテンヒット的なこちらがツッコミを入れつつ、クスリと笑うネタと下ネタをふんだんに織り交ぜたキャラクターのどーしようもないやり取りの金太郎飴的無限パターンがミニマルなグルーヴとなって、「偉大なるマンネリ」フェーズに入っているのが、年々消費速度の速くなっているマンガ・アニメ業界において、かえって貴重な存在になってきてるなあと改めて感じる。ここまで長く続けられているのも一定の固定客が計算できるからであり、そこら辺も地味にすごいなあと。
というより、メインキャストもさることながら、平野文や椎名へきるといったベテランをサブキャラにキャスティングしたり、反対に今が旬の上坂すみれとかを起用できる辺りの妙な間口の広さもなにか作品の抜け目なさがあって、興味深い。
……なんだか映画の感想になってないようにも思うが、最初にも言ったようにあまりにも「いつも通り」なのでその変わらない味を確認できただけでもこの映画は成功してるし、作品の方向性として間違ってはいないのだと思う。むしろ変えてくれなくて良かった、と思わせるのは作品の強みだろう。
まあ、個人的にはウオミーの出番が多かったのが嬉しかったのと、小見川千明さんが健在だったのが楽しかった。あと劇場だからといって、下ネタを自重しない感じも安定のクダラなさで妙に安心してしまった。とはいえ、この調子だといつかは3期もやりそうな感じではあるが、最後の最後のアレはなかなか意味深で、気を持たせる終わりだったのでやきもきする。あと入場特典の書き下ろしコミックスは鑑賞し終わったと読んだ方が得策かも。
点数はその作品の磐石さ加減ととあまりにも「映画」を意識していない点を考慮して、このくらいかなと。作品のファンならいつもと変わらない味を楽しめる一本です。
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