ローズバッド

オン・ザ・ミルキー・ロードのローズバッドのレビュー・感想・評価

4.0
クストリッツァ監督について考えるのなら、旧ユーゴスラビアの辿った戦争の歴史抜きには語れないことは解っていても、ちょっと調べてみたところで、複雑すぎてまったく僕の頭には入らない。
でもクストリッツァの映画が「なぜ面白いか?」については、簡単に説明できる事に気が付いた。
「三大映画祭を制覇してるような、コメディっぽいのにややこしい高尚な映画」だと尻込みしている人がいたら、こう伝えるのがいいんじゃないかな。
クストリッツァ映画の面白さは、みんな大好き『スターウォーズ』と一緒だよ!って。

①見た目からして異形なキャラがバンバン登場して…
②そこらじゅうを変なクリーチャー(動物)が闊歩してて…
③超カッコいい音楽が頭から離れなくなって…
④レトロでポンコツだけど超カッコいいスーパーマシンが出てきて…
⑤そんで、しょっちゅう戦争してる。

ほら、これはもう『スターウォーズ』じゃないですか!
「スターウォーズはデザインが9割」なのと同じように、「クストリッツァは見た目(あと音楽)が9割」だと思うんですよ。
そんで、『スターウォーズ』より、もっとカッコイイって言い切っちゃう。

監督には本当に申し訳ないけれども、クストリッツァ映画の戦争や社会へのメッセージを読み取り、言語化して血肉とするほどの知識も教養も、僕は持っていない。
でも、映像と音楽が持っている圧倒的な豊かさは、ビンビンに感じてます。
清濁なんて併せ呑んじゃって、人間の内側から溢れ出てくるエネルギーに感動するんです。
酒と音楽と恋と友情さえあれば幸せ。
だから、とことんハッピーなコメディの『黒猫・白猫』が、生涯ベスト級に一番好き。

普段映画を観るときは、解ったような顔をして、メタファーの分析とかしてしまうけれども、クストリッツァの映画に関しては、いっぱい有るんだろうけれども「まぁいいや、楽しいから」と思っちゃう。
今回の『オン・ザ・ミルキー・ロード』 も、冒頭からそんな楽しさがスクリーンからはみ出そうなくらい詰まってて、500億点連発している状態。
ずっとニコニコ、ニヤニヤして観てたんですが…、あの惨劇さえなければ…、ずっとみんなで楽しくパーティーしていられたのに…、俺はもっともっとパーティーが観ていたかったんだよ!
あの黒づくめの特殊部隊が本当に許せん!
映画を観てて、これほどハッピーエンドを願ったことはない、だってもう一度パーティーが観たかったんだぁ!